ファイザーワクチン後の重篤な有害事象リスク、感染後より低い/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2021/09/02

 

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンBNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の接種は、ほとんどの臨床的に重要な有害事象のリスク増大とは関連しておらず、ワクチン接種と心筋炎の過剰リスクとの関連は認められたが(10万人当たり1~5件)、これら心筋炎を含めた重篤有害事象リスクは、SARS-CoV-2感染後のほうが大幅な増大が認められた。イスラエル・Clalit Research InstituteのNoam Barda氏らが、イスラエルの半数超の国民が加入する健康保険データを基に解析を行い報告した。NEJM誌オンライン版2021年8月25日号掲載の報告。

イスラエル国民データを基に、臨床的に重要な有害事象のリスクを解析

 研究グループは、イスラエルで最大の医療保険組織「Clalit Health Services」のデータ(イスラエル国民の約52%が加入)を用い、2020年12月20日~2021年5月24日にBNT162b2ワクチン接種を受けた人(接種群)、ならびにワクチン接種者と人口統計学的および臨床的特徴をマッチングさせたワクチン未接種者(対照群)を対象として、BNT162b2ワクチンの安全性を評価した。

 臨床的に重要な短期および中期の潜在的な有害事象(発熱、倦怠感、局所注射部位反応などの軽度の有害事象は含まない)について、Kaplan-Meier法を用いてワクチン接種後42日目の各有害事象のリスク比とリスク差を算出。また、SARS-CoV-2感染者と非感染者をマッチさせ、同様の解析を行った。

心筋炎リスク、ワクチン接種vs.未接種群は約3倍、感染者vs.非感染者では約18倍

 解析対象は、ワクチン接種群および対照群で各88万4,828例、SARS-CoV-2感染者群および非感染者群で各17万3,106例であった。

 ワクチン接種は、心筋炎(リスク比[RR]:3.24[95%信頼区間[CI]:1.55~12.44]、リスク差:2.7件/10万人[95%CI:1.0~4.6])、リンパ節腫脹(2.43[2.05~2.78]、78.4件/10万人[64.1~89.3])、虫垂炎(1.40[1.02~2.01]、5.0件/10万人[0.3~9.9])、および帯状疱疹感染(1.43[1.20~1.73]、15.8件/10万人[8.2~24.2])のリスク上昇と強い関連が認められた。

 一方で、SARS-CoV-2感染者は非感染者と比較し、心筋炎(RR:18.28[95%CI:3.95~25.12]、リスク差:11.0件/10万人[95%CI:5.6~15.8])のほか、急性腎障害(14.83[9.24~28.75]、125.4件/10万人[107.0~142.6])、肺塞栓症(12.14[6.89~29.20]、61.7件/10万人[48.5~75.4])、頭蓋内出血(6.89[1.90~19.16]、7.6件/10万人[2.7~12.6])、心膜炎(5.39[2.22~23.58]、10.9件/10万人[4.9~16.9])、心筋梗塞(4.47[2.47~9.95]、25.1件/10万人[16.2~33.9])、深部静脈血栓症(3.78[2.50~6.59]、43.0件/10万人[29.9~56.6])、不整脈(3.83[3.07~4.95]、166.1件/10万人[139.6~193.2])の大幅なリスク上昇が認められた。

(ケアネット)