急性間欠性ポルフィリン症、RNAi薬givosiranが有効/NEJM

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2020/06/22

 

 急性間欠性ポルフィリン症患者の治療において、RNAi(RNA interference:RNA干渉)治療薬givosiranはプラセボに比べ、ポルフィリン症発作をはじめとする諸症状の抑制に高い効果を発揮する一方で、肝臓や腎臓の有害事象の頻度が高いことが、米国・マウントサイナイ・アイカーン医科大学のManisha Balwani氏らが実施した「ENVISION試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年6月11日号に掲載された。急性肝性ポルフィリン症の急性発作と慢性症状の病因の中心となるのは、δ-アミノレブリン酸(ALA)とポルフォビリノーゲン(PBG)の蓄積をもたらす肝臓のδ-アミノレブリン酸合成酵素1(ALAS1)のアップレギュレーションと考えられている。givosiranは、ALAS1のmRNAを標的とするRNAi治療薬であり、ALAとPBGの蓄積を防止するという。

18ヵ国36施設のプラセボ対照第III相試験

 本研究は、日本を含む18ヵ国36施設が参加した二重盲検プラセボ対照第III相試験であり、2017年11月16日~2018年6月27日に患者登録が行われた(Alnylam Pharmaceuticalsの助成による)。

 対象は、年齢12歳以上、症候性の急性肝性ポルフィリン症で、尿中ALAとPBG濃度が正常上限値の4倍以上に上昇した患者であった。

 被験者は、givosiran(2.5mg/kg体重)を月1回皮下投与する群、またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられ、6ヵ月の治療が行われた。

 主要エンドポイントは、急性間欠性ポルフィリン症(急性肝性ポルフィリン症の最も頻度の高いサブタイプ)患者における複合ポルフィリン症発作の年間発生率とした。複合ポルフィリン症発作は、入院、医療施設への緊急受診、自宅での静脈内ヘミン投与を行った場合とした。

 重要な副次エンドポイントは、急性間欠性ポルフィリン症患者におけるALAとPBGの濃度、ヘミンの使用日数、1日最大疼痛スコア、および急性肝性ポルフィリン症患者における発作の年間発生率などであった。

主要エンドポイントが74%低下、ALAは86%、PBGは91%低下

 94例が登録され、givosiran群に48例、プラセボ群には46例が割り付けられた。全体の平均年齢は38.8±11.4歳、女性が84例(89%)であった。94例中89例が急性間欠性ポルフィリン症だった。

 急性間欠性ポルフィリン症患者における6ヵ月後の複合ポルフィリン症発作の平均年間発生率は、givosiran群が3.2、プラセボ群は12.5であり、givosiran群で74%低かった(p<0.001)。複合発作の3つの構成要素である入院、緊急受診、静脈内ヘミン投与はいずれも、givosiran群で低下の程度が大きかった。また、複合発作の年間発生率の中央値では、givosiran群が1.0、プラセボ群は10.7であり、givosiran群で90%低かった。急性肝性ポルフィリン症でも、ほぼ同様の結果だった。

 急性間欠性ポルフィリン症患者では、givosiran群はプラセボ群に比べ、尿中のALA(3ヵ月、6ヵ月)およびPBG(6ヵ月)の濃度が低く(いずれもp<0.001)、ヘミンの使用日数が少なく(p<0.001)、1日最大疼痛スコアが良好だった(p=0.046)。また、急性肝性ポルフィリン症患者における発作の年間発生率も、givosiran群で低かった(p<0.001)。ALAとPBG濃度の低下は、介入期間中を通じて持続し、6ヵ月時のベースラインからの低下の割合中央値は、ALA濃度が86%、PBG濃度は91%だった。

 givosiran群で頻度が高かった重要な有害事象は、アラニン・アミノトランスフェラーゼ(ALT)値上昇(8% vs.2%)、血清クレアチニン値上昇または推定糸球体濾過量低下(15% vs.4%)、注射部位反応(25% vs.0%)であった。givosiran群の10%に、慢性腎臓病が発現した。

 重篤な有害事象の割合は、givosiran群で高かった(21% vs.9%)。また、ALT値が正常上限値の3倍以上の患者の割合はgivosiran群で高く(15% vs.2%)、投与開始から3~5ヵ月後に発生した。ALT値が正常上限値の9.9倍に達した1例は、治療中止となったが、6ヵ月後には正常値に回復した。これ以外に、治療中止や脱落した患者はなかった。

 著者は、「肝臓や腎臓の有害事象が多かったものの、安全性プロファイルは許容できるものであった」としている。これらの知見に基づき、givosiranは急性肝性ポルフィリン症の成人患者の治療薬として、2019年11月20日に米国食品医薬品局(FDA)の、2020年3月3日に欧州医薬品庁(EMA)の承認を得ており、EMAは12歳以上での使用を承認しているという。

(医学ライター 菅野 守)