急性肝性ポルフィリン症治療薬ギボシランナトリウムを発売/アルナイラムジャパン

提供元:ケアネット

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公開日:2021/09/01

 

 アルナイラムジャパン株式会社は、急性肝性ポルフィリン症(AHP)の治療薬としてギボシランナトリウム(商品名:ギブラーリ皮下注)189mgを8月30日に発売した。本治療薬は、わが国における2成分目のRNA干渉(RNAi)治療薬で、同社が国内で上市・販売するパチシランナトリウム(同:オンパットロ)に続く、2番目の製品となる。

急性肝性ポルフィリン症は確定診断に10年以上もかかるケースも

 急性肝性ポルフィリン症は、遺伝子変異により肝臓内のヘム産生に必要な特定の酵素が欠如することで生じ、これによりヘム生成の途中段階で作られる神経毒性を持つ物質(ポルフィリン体など)が蓄積することで、重症かつ原因不明の腹痛、嘔吐および痙攣などの急性かつ消耗性の発作を特徴とする、遺伝性のまれな代謝性疾患。20~30代の女性に多く、発作中に麻痺や呼吸停止を引き起こす可能性もあることから、生命を脅かす危険もある。また、多くの患者で発作と発作の間も持続する疼痛などの持続症状を伴い、日常機能や生活の質(QOL)に悪影響を及ぼすとされている。急性肝性ポルフィリン症はその症状などから、婦人科疾患、ウイルス性胃腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、虫垂炎などの他の疾患と診断されることもあり、他の疾患と診断された症例の約1/4で、急性肝性ポルフィリン症治療には必要のない、侵襲性の高い開腹手術などの処置が行われたとする国内データも報告されている。また、確定診断までの期間が10年以上に及ぶケースもあり、鑑別の難しさが課題となっている。

ギボシランナトリウムは急性肝性ポルフィリン症の発作などを減少

 急性肝性ポルフィリン症の治療薬であるギボシランナトリウムは、アミノレブリン酸合成酵素1(ALAS1)を標的とするRNAi治療薬。ALAS1のメッセンジャーRNA(mRNA)を特異的に低下させることで、急性肝性ポルフィリン症の急性発作やその他の症状の発現に関連する神経毒性を減少させる。第III相ENVISION試験において、ギボシランナトリウムはプラセボと比較して、入院、緊急訪問診療、自宅における静脈内ヘミン投与を要するポルフィリン症の発作率を有意に低下させることが示された。

 わが国では、2020年6月に希少疾病用医薬品に指定され、優先審査の対象となり2021年6月にアルナイラムジャパンが製造販売承認を取得した。海外では、2019年11月に米国食品医薬品局(FDA)の承認取得を、2020年3月に欧州医薬品庁(EMA)より治療薬承認を受け、ブラジル、カナダなどでも承認を受けている。

製品概要
製品名:ギブラーリ皮下注189mg
一般名:ギボシランナトリウム
効果・効能:急性肝性ポルフィリン症
用法・用量:
通常、12歳以上の患者には1ヵ月に1回ギボシランとして2.5mg/kgを皮下投与する
製造販売承認:2021年6月23日 
薬価収載:2021年8月12日 
発売日:2021年8月30日
薬価:500万6,201円
製造販売元:アルナイラムジャパン株式会社

(ケアネット 稲川 進)