左冠動脈主幹部狭窄、PCIはCABGより5年臨床転帰不良/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2020/01/15

 

 左冠動脈主幹部病変の血行再建術では、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は冠動脈バイパス術(CABG)に比べ、5年時の臨床転帰が不良であることが、デンマーク・オーフス大学病院のNiels R. Holm氏らが行った「NOBLE試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年12月23日号に掲載された。PCIは近年、左冠動脈主幹部病変を有する患者の血行再建において、標準治療のCABGに代わり使用機会が増えている。本研究では、追跡期間中央値3.1年の時点で、これら2つの介入法の死亡率は類似するが、PCIでわずかに高かったと報告されている。

主要有害心/脳血管イベントを評価する非劣性試験
 本研究は、欧州北部9ヵ国の36の病院が参加した非盲検無作為化非劣性試験であり、2008年12月9日~2015年1月21日の期間に患者登録が行われた(Biosensorsの助成による)。今回は、追跡期間中央値5年時の成績が報告された。

 対象は、安定狭心症/不安定狭心症、急性冠症候群で、左冠動脈主幹部の入口部、mid-shaftまたは分岐部に、目視で>50%の狭窄または冠血流予備量比(FFR)≦0.80の病変を有し、これ以外の非複雑病変が3つ以下の患者であった。

 被験者は、PCIまたはCABGを受ける群に無作為に割り付けられた。

 主要エンドポイントは、主要有害心/脳血管イベント(MACCE)であり、全死因死亡、手技に伴わない心筋梗塞、再血行再建術、脳卒中の複合とした。PCIのCABGに対する非劣性は、MACCEが275件発生後のハザード比(HR)の95%信頼区間(CI)上限値が1.35を超えない場合と定義された。副次エンドポイントは、全死因死亡、手技に伴わない心筋梗塞、再血行再建術であった。

死亡に差はないが、心筋梗塞と再血行再建術はCABGで良好
 1,201例が登録され、PCI群に598例、CABG群には603例が割り付けられた。両群とも592例ずつがintention-to-treat解析の対象となった。追跡期間中央値4.9年の時点で、主要エンドポイントの評価に十分な検出力を持つイベント数に達した。

 ベースラインの年齢中央値は、PCI群66.2歳(IQR:9.9)、CABG群66.2歳(9.4)で、女性がそれぞれ20%および24%含まれた。糖尿病がPCI群16%、CABG群15%に認められた。血行再建術の臨床的適応は、安定狭心症がPCI群82%、CABG群83%であった。左冠動脈主幹部狭窄が分岐部の患者はPCI群81%、CABG群81%であった。また、SYNTAXスコアの平均値は、それぞれ22(SD 8)点および22(7)点だった。

 Kaplan-Meier法によるMACCE発生の推定値は、PCI群が28%(165イベント)、CABG群は19%(110イベント)であった。HRは1.58(95%CI:1.24~2.01)であり、PCIの非劣性は示されず、CABGの優越性が確認された(p=0.0002)。

 また、全死因死亡の発生率はPCI群9%、CABG群9%(HR:1.08、95%CI:0.74~1.59、p=0.68)であり、両群間に差は認めなかった。一方、手技に伴わない心筋梗塞の発生率はそれぞれ8%および3%(2.99、1.66~5.39、p=0.0002)、再血行再建術の発生率は17%および10%(1.73、1.25~2.40、p=0.0009)と、CABG群で有意に良好であった。なお、脳卒中の発生率はそれぞれ4%および2%(1.75、0.86~3.55、p=0.11)だった。

 SYNTAXスコアが低い集団(1~22点、52%)のMACCE発生率は、PCI群27%、CABG群14%(HR:2.05、95%CI:1.41~2.98、p=0.0001)と、CABG群で良好であった。一方、同スコアが中間の集団(23~32点、40%)では、PCI群30%およびCABG群25%(1.24、0.87~1.77、p=0.30)、同スコアが高い集団(≧33点、9%)では、それぞれ33%および25%(1.41、0.68~2.93、p=0.40)であり、両群間に差はみられなかった。

 著者は、「左冠動脈主幹部病変がみられ、これ以外の狭窄の数が限定的な患者の血行再建術においては、ハートチーム(heart team)による治療が適切と考えられる場合は、PCIとCABGの死亡率はほぼ同様の可能性がある。多枝病変で、とくに糖尿病を合併する場合は、CABGのほうが死亡率が低いため好ましく、PCIは急性冠症候群で好ましい手技と考えられる。PCIとCABGの双方が適応の患者では、個々の手技に関連する便益とリスクに関する十分な情報が必要となる」としている。

(医学ライター 菅野 守)