転移のある腎細胞がんの1次治療、抗PD-L1抗体+VEGF阻害薬が有効/Lancet

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 転移を有する腎細胞がんの1次治療において、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法はスニチニブ単剤と比較して、無増悪生存(PFS)期間を有意に延長し、安全性プロファイルも良好であることが、米国・クリーブランドクリニックのBrian I. Rini氏らが実施したIMmotion151試験で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2019年5月9日号に掲載された。過去10年、局所進行・転移を有する腎細胞がんの1次治療では、スニチニブなどの血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を標的とするチロシンキナーゼ阻害薬が標準治療とされてきたが、多くの患者が抵抗性を獲得する。アテゾリズマブによるT細胞を介するがん細胞の殺傷効果は、VEGF阻害薬ベバシズマブの併用で増強する可能性が示唆され、PD-L1発現病変を有する患者では、スニチニブ単剤に比べPFS期間および客観的奏効率を改善したと報告されている。

21ヵ国が参加、標準治療と比較する無作為化試験
 IMmotion151は、欧州、北米、アジア太平洋諸国を中心とする21ヵ国152施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2015年5月~2016年10月の期間に患者登録が行われた(F Hoffmann-La Roche、Genentechの助成による)。

 対象は、年齢18歳以上、切除不能な局所進行・転移を有する腎細胞がんで、組織学的に淡明細胞型または肉腫様の患者であった。被験者は、アテゾリズマブ(1,200mg)+ベバシズマブ(15mg/kg)を3週ごとに静脈内投与する群、またはスニチニブ(50mg)を4週間毎日1回経口投与後2週休薬する群に無作為に割り付けられた。PD-L1の発現状況は、患者、治験担当医、独立の画像審査委員会、スポンサーにはマスクされた。

 主要エンドポイントは、PD-L1陽性例における治験担当医判定のPFS期間と、intention-to-treat(ITT)集団における全生存(OS)期間の複合とした。

OSの中間解析では有意差なし
 915例が登録され、アテゾリズマブ+ベバシズマブ群に454例(年齢中央値62歳[IQR 56~69]、男性70%)、スニチニブ群には461例(60歳[54~66]、76%)が割り付けられた。362例(40%、アテゾリズマブ+ベバシズマブ群178例、スニチニブ群184例)がPD-L1陽性であった。フォローアップ期間中央値は、PFS解析時が15ヵ月、OSの中間解析時は24ヵ月であった。

 PD-L1陽性例では、PFS期間中央値はアテゾリズマブ+ベバシズマブ群が11.2ヵ月と、スニチニブ群の7.7ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.74、95%信頼区間[CI]:0.57~0.96、p=0.0217)。また、ITT集団におけるOS期間中央値は、アテゾリズマブ+ベバシズマブ群が33.6ヵ月、スニチニブ群は34.9ヵ月であり、有意差はみられなかった(0.93、0.76~1.14、p=0.4751)。

 ITT集団のPFS期間中央値(11.2ヵ月 vs.8.4ヵ月、HR:0.83、95%CI:0.70~0.97、0.0219)はアテゾリズマブ+ベバシズマブ群が有意に優れ、PD-L1陽性例のOS期間中央値(34.0ヵ月 vs.32.7ヵ月、0.84、0.62~1.15、p=0.2857)には有意差はなかった。

 治療関連のGrade3~4の有害事象は、アテゾリズマブ+ベバシズマブ群が451例中182例(40%)で、スニチニブ群は446例中240例(54%)で認められた。治療中止の原因となった有害事象は、それぞれ24例(5%)および37例(8%)で発現した。

 著者は、「延命効果を明確にするには長期のフォローアップを要する」とし、「これらの結果は、転移を有する腎細胞がんの1次治療では、同時にVEGFシグナル伝達経路を阻害することで、免疫療法の効果が増強する可能性があるとの仮説を支持するものである」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)

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