低リスク大動脈弁狭窄症に自己拡張型弁のTAVRは有効か/NEJM

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ケアネット

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 手術リスクが低い重症大動脈弁狭窄症患者に対して、自己拡張型supraannularバイオ人工弁による経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)の施行は通常手術施行に対して、24ヵ月時点の死亡または後遺障害を伴う脳卒中発生の複合エンドポイントについて非劣性であることが示された。米国・ベスイスラエル・ディーコネス医療センターのJeffrey J. Popma氏らによる無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年3月16日号で発表された。TAVRは、手術を受けた場合の死亡リスクが高い重症大動脈弁狭窄症患者の、手術に変わる治療法とされている。これまで、手術リスクの低い患者のTAVR施行については明らかにされていなかった。

手術リスクが低い患者についてTAVR vs.手術の無作為化試験
 研究グループは、手術後30日時点の死亡リスクが低いとみなされた重症大動脈弁狭窄症患者において、TAVRの有効性および安全性を、手術の有効性および安全性と比較する検討を行った。適格患者を2群に割り付け、一方にはTAVRを、もう一方には手術を行った。被験者は、ベースライン、退院時、施術後1、6、12、18、24ヵ月時点で評価を受けた。

 被験者850例が12ヵ月のフォローアップを受けた時点で、ベイズ法を用いて24ヵ月時点の死亡または後遺障害を伴う脳卒中発生の主要複合エンドポイントに関する中間解析を行った。

TAVRの手術に対する非劣性を確認
 2016年3月28日~2018年11月27日に、オーストラリア、カナダ、フランス、日本、オランダ、米国の86施設で登録された1,468例が無作為化を受けた。そのうち1,403例(TAVR群725例、手術群678例)が施術を受け、解析治療コホートに包含された。被験者の平均年齢は74歳、女性は34.9%、手術リスクは全例で低く、両群間で有意な差はみられなかった。

 事前規定の中間解析時点で、12ヵ月のフォローアップを受けていた被験者は、TAVR群432例、手術群352例だった。24ヵ月のフォローアップ完遂者はそれぞれ72例、65例で、各群のフォローアップ期間中央値は12.2ヵ月であった。

 24ヵ月時点の主要エンドポイントの推定発生率はTAVR群5.3%、手術群6.7%であった(群間差:-1.4ポイント、群間差の95%ベイズ確信区間:-4.9~2.1、非劣性の事後確率>0.999)。

 30日時点で、TAVR群は手術群と比べて、後遺障害を伴う脳卒中(0.5% vs.1.7%)、出血性合併症(2.4% vs.7.5%)、急性腎障害(0.9% vs.2.8%)、心房細動(7.7% vs.35.4%)の発生は低率であった。一方、中等症~重症大動脈弁閉鎖不全(3.5% vs.0.5%)、ペースメーカー植え込み施行(17.4% vs.6.1%)の発生は高率であった。

 12ヵ月時点では、TAVR群は手術群よりも大動脈圧較差が小さく(8.6mmHg vs.11.2mmHg)、有効逆流弁口面積は大きいことが認められた(2.3cm2 vs.2.0cm2)。

(ケアネット)

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コメンテーター : 上妻 謙( こうづま けん ) 氏

帝京大学医学部内科学講座・循環器内科 教授

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