転移リスクの高い前立腺がん、エンザルタミドは転移を有意に抑制/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2018/07/05

 

 転移のない去勢抵抗性前立腺がんで、PSA値が急上昇している患者において、エンザルタミド(商品名:イクスタンジ)の投与により、プラセボと比較して転移または死亡のリスクが有意に71%低下したことが、米国・ノースウェスタン大学のMaha Hussain氏らによる第III相の二重盲検無作為化試験の結果、示された。有害事象は、エンザルタミドの確立している安全性プロファイルと一致していた。転移のない去勢抵抗性前立腺がんでPSA値が急上昇している患者は、転移リスクが高い。研究グループは、エンザルタミドがそのような患者の転移を遅延し、全生存(OS)を延長するとの仮定について検証を行った。NEJM誌2018年6月28日号掲載の報告。

エンザルタミド1日1回160mg vs.プラセボで、無転移生存期間を評価
 試験は、転移のない去勢抵抗性前立腺がんで、PSA倍加時間が10ヵ月以下のアンドロゲン除去療法を継続している患者を、1日1回エンザルタミド(160mg)またはプラセボを投与する群に、無作為に2対1の割合で割り付けて追跡評価した。

 主要評価項目は、無転移生存期間(MFS:無作為化から放射線学的進行までの期間または放射線学的進行を認めることなく死亡までの期間)であった。

エンザルタミド群の転移または死亡のHRは0.29
 2013年11月26日~2017年6月28日までに、計2,874例がスクリーニングを受け、試験適格であった1,401例(PSA倍加時間中央値3.7ヵ月)が登録・無作為化を受けた(エンザルタミド群933例、プラセボ群468例)。試験薬の投与期間中央値は、エンザルタミド群18.4ヵ月、プラセボ群11.1ヵ月で、登録終了(2017年6月28日)時点で試験薬の投与を受けていたのは、それぞれ634例、176例であった。投与中止の理由は両群とも病勢進行が最も多く(15%、44%)、次いで有害事象によるものであった(10%、6%)。

 主要評価項目の発生は、エンザルタミド群219/933例(23%)、プラセボ群228/468例(49%)であった。MFSの中央値は、エンザルタミド群36.6ヵ月、プラセボ群14.7ヵ月であった(転移または死亡のハザード比[HR]:0.29、95%信頼区間[CI]:0.24~0.35、p<0.001)。

 後続治療の抗腫瘍治療初回実施までの期間は、エンザルタミド群がプラセボ群より有意に延長した(39.6 vs.17.7ヵ月、HR:0.21、95%CI:0.17~0.26、p<0.001;後続治療実施15 vs.48%)。同様に、PSA値に基づく進行確認までの期間もエンザルタミド群が有意に延長した(37.2 vs.3.9ヵ月、HR:0.07、95%CI:0.05~0.08、p<0.001;同進行発生22 vs.69%)。

 全生存期間の初回中間解析の時点で、エンザルタミド群103例(11%)、プラセボ群62例(13%)が死亡していた。生存期間中央値は、両群とも未到達であった(p=0.15)。

 Grade3以上の有害事象の発生は、エンザルタミド群31%、プラセボ群23%であった。

(ケアネット)