非転移性去勢抵抗性前立腺がん、アパルタミドがMFS延長/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2018/02/27

 

 アンドロゲン受容体の競合的阻害薬apalutamideは、高リスクの非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者の転移および死亡のリスクを改善し、無転移生存期間(MFS)を延長することが、米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのMatthew R. Smith氏らが行ったSPARTAN試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年2月8日号に掲載された。apalutamideは、開発中の非ステロイド性抗アンドロゲン薬で、病勢進行リスクの高い非転移性去勢抵抗性前立腺がんの第II相試験において、良好な前立腺特異抗原(PSA)奏効期間が報告されている。

アンドロゲン遮断療法との併用の効果をプラセボと比較
 SPARTAN試験は、高リスクの非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者の治療における、apalutamideの有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第III相比較試験である(Janssen Research and Development社の助成による)。

 対象は、年齢18歳以上で、転移のリスクが高い去勢抵抗性前立腺がんの男性患者であった。持続的アンドロゲン遮断療法(両側除睾術またはGnRHアゴニスト/GnRHアンタゴニストによる治療)を施行中のPSA倍加時間が10ヵ月以内の場合に、転移リスクが高いと定義した。

 被験者は、apalutamide(240mg/日)またはプラセボを経口投与する群に、2対1の割合でランダムに割り付けられた。治療は、プロトコールで規定された病勢進行、有害事象、同意撤回が発生するまで行った。全例が、アンドロゲン遮断療法を継続した。

 主要エンドポイントは、MFS(ランダム割り付け時から画像上での遠隔転移の初回検出または死亡までの期間)とした。

 2013年10月14日~2016年12月15日の期間に、日本を含む26ヵ国332施設に1,207例が登録され、apalutamide群に806例、プラセボ群には401例が割り付けられた。全体のフォローアップ期間中央値は20.3ヵ月であった。

転移・死亡のリスクが72%低下、MFSは2年以上延長
 ベースラインの年齢中央値は、apalutamide群が74歳(範囲:48~94)、プラセボ群も74歳(52~97)であり、初回診断から割り付けまでの期間中央値はそれぞれ7.95年、7.85年、PSA倍加時間中央値は4.40ヵ月、4.50ヵ月であった。

 MFS中央値はapalutamide群が40.5ヵ月と、プラセボ群の16.2ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.28、95%信頼区間[CI]:0.23~0.35、p<0.001)。事前に規定されたサブグループのすべてで、MFS中央値はapalutamide群のほうが良好だった。

 副次エンドポイントのうち、転移までの期間中央値(40.5 vs.16.6ヵ月、HR:0.27、95%CI:0.22~0.34、p<0.001)、無増悪生存期間中央値(40.5 vs.14.7、0.29、0.24~0.36、<0.001)、症状が進行するまでの期間中央値(未到達vs.未到達、0.45、0.32~0.63、<0.001)は、いずれもapalutamide群が有意に優れた。全生存期間中央値(未到達vs.39.0ヵ月、HR:0.70、95%CI:0.47~1.04、p=0.07)には有意な差はなかった。

 探索的エンドポイントでは、2次無増悪生存期間中央値(未到達vs.39.0ヵ月、HR:0.49、95%CI:0.36~0.66)と、PSA増悪までの期間中央値(未到達vs.3.7ヵ月、0.06、0.05~0.08)が、apalutamide群で有意に良好だった。

 有害事象により治療が中止された患者の割合は、apalutamide群が10.6%、プラセボ群は7.0%であり、重篤な有害事象の発現率はそれぞれ24.8%、23.1%であった。apalutamide群で頻度の高い有害事象として、皮疹(23.8% vs.5.5%)、甲状腺機能低下症(8.1% vs.2.0%)、骨折(11.7% vs.6.5%)が認められた。

 著者は、「副次および探索的エンドポイントの一貫した改善は、主要エンドポイントの知見の正確性を裏付けるものである」としている。

(医学ライター 菅野 守)