片頭痛予防薬のfremanezumab、第III相試験でも有効性を確認/NEJM

カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とするヒト化モノクローナル抗体fremanezumabについて、慢性片頭痛患者の予防に有効であることが示された。米国・トーマス・ジェファーソン大学のStephen D.Silberstein氏らが1,130例の患者を対象に行った、12週間の第III相無作為化プラセボ対照二重盲検試験で、月1回投与、3ヵ月に1回投与のいずれについてもプラセボより、月の平均頭痛日数が有意に減少したという。研究グループは、「長期の効果持続性と安全性について、さらなる研究が求められる」とまとめている。NEJM誌2017年11月30日号掲載の報告。
fremanezumabを毎3ヵ月・毎月投与
研究グループは、fremanezumabの慢性片頭痛に対する予防効果を調べるため、2つの用量レジメンとプラセボを比較する検討を行った。慢性片頭痛患者1,130例を無作為に3群に分け、(1)fremanezumabを3ヵ月に1回投与(ベースライン時675mg、4、8週時はプラセボを投与、376例:3ヵ月ごと投与群)、(2)毎月投与(ベースライン675mg、4、8週時は225mg投与、379例:月1回投与群)、(3)プラセボ投与(375例)を、それぞれ皮下注射で行った。慢性片頭痛患者の定義は、持続時間や重症度にかかわらず頭痛が月に15日以上あり、そのうち片頭痛が8日以上ある患者とした。主要エンドポイントは、初回投与後12週時点における月平均頭痛日数の、ベースラインからの平均変化値だった。評価対象とした頭痛の定義は、連続4時間以上持続しピーク時重症度が中等度以上であった頭痛、または持続時間や重症度にかかわらず急性片頭痛薬(トリプタン系薬やエルゴタミン製剤)を使用した頭痛で、それらを呈した日数をカウントした。
月平均頭痛日数が、fremanezumab群は2用量群とも約4割で半減
ベースライン時の被験者の月平均頭痛日数は、3ヵ月ごと投与群が13.2日、月1回投与群が12.8日、プラセボ群が13.3日だった。月平均頭痛日数の減少幅の最小二乗平均値は、3ヵ月ごと投与群が4.3±0.3日、月1回投与群4.6±0.3日に対し、プラセボ群は2.5±0.3日で、fremanezumab群で有意に大きかった(いずれも対プラセボのp<0.001)。
月平均頭痛日数が50%以上減少した患者の割合は、3ヵ月ごと投与群38%、月1回投与群41%に対し、プラセボ群は18%で、fremanezumab群で有意に高率だった(いずれも対プラセボのp<0.001)。
試験薬に関連したものと考えられる肝機能異常は、fremanezumab群でそれぞれ5例(1%)ずつ、プラセボ群は3例(<1%)で報告された。最も頻度の高い有害事象は注射部位副反応の疼痛で、3ヵ月ごと投与群30%、月1回投与群26%、プラセブ群は28%の発生が報告された。次いで硬結と発赤は、fremanezumab群がプラセボ群よりも発生頻度が高かった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)
[ 最新ニュース ]

関節炎発症前のメトトレキサート、関節リウマチの発現を抑制するか/Lancet(2022/08/09)

DPP-4阻害薬は胆嚢炎発症リスクを増加させる(解説:住谷哲氏)(2022/08/09)

10代女性における不眠症と地中海食との関係(2022/08/09)

コロナ感染後の心筋梗塞・脳卒中発生率、ワクチン接種者vs.未接種者/JAMA(2022/08/09)

チームスポーツは子どもたちのメンタルに良い(2022/08/09)

食事に塩をかける習慣は寿命を縮める?(2022/08/09)

血液がん患者でもブースター接種で一定程度の免疫を獲得(2022/08/09)

“お腹が減るとイライラする”は本当か(2022/08/09)
[ あわせて読みたい ]
長門流 認定内科医試験BINGO! 総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.3(2017/06/07)
~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【神経内科編】(2016/12/07)
総合内科専門医試験対策 “苦手”科目をクイック復習 2016 (2016/07/29)
認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.4(2016/06/07)
認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.3(2016/05/31)
今さら聞けない薬の作用~系統別にコンパクト解説~(2016/05/11)
スキンヘッド脳外科医 Dr. 中島の 新・徒然草(2016/01/14)
診療よろず相談TV シーズンII(2014/07/03)
スキンヘッド脳外科医 Dr. 中島の 新・徒然草(2014/01/20)
専門家はこう見る
fremanezumabとerenumabは片頭痛の予防治療に有効(中川原譲二氏)-789
コメンテーター : 中川原 譲二( なかがわら じょうじ ) 氏
梅田脳・脊髄・神経クリニック 脳神経外科
J-CLEAR評議員