DES1年後のDAPT:継続か?中断か?/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2014/07/30

 

 薬剤溶出ステント(DES)留置後の2剤併用抗血小板療法(DAPT)の継続について、留置後1年間でイベントが起きなかった場合、その後も継続して行うことに明白な有益性はなく、むしろ出血イベントのリスクが増し有害であることが示された。フランス・INSERMのJean-Philippe Collet氏らが、無作為化試験ARCTIC-Interruptionの結果を分析し報告した。冠動脈ステント留置後のDAPTの至適な継続期間はいまだ明らかになっていない。著者は今回の結果について、「高リスク患者が除外された試験であり、同患者については結論を出すことはできない」としつつ、「同様に中断した試験すべての所見が、冠動脈ステント留置後のDAPTの治療期間について短縮する方向でガイドラインを再検討する必要があることを示唆している」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年7月16日号掲載の報告より。

DES留置1年後、DAPT中断群と継続群に割り付け検討

 ARCTIC-Interruptionは、既報の無作為化試験ARCTIC-Monitoring(ARCTIC第I相試験、2,440例が参加)で予定されていた延長試験(ARCTIC第II相試験)であった。フランスの38施設でDES埋め込み手術が予定されていた18歳以上の患者が参加して行われた。

 ARCTIC-Interruptionは、第I相試験の被験者で追跡1年後、DAPT中断への禁忌(糖尿病、末梢動脈疾患、ADPに対する血小板反応が高いなど)を有さなかった患者を適格とし、コンピュータ無作為化シーケンスにより施設単位で1対1の割合で、中断群と継続群に割り付けて6~18ヵ月治療が行われた。中断群はチエノピリジン系薬(クロピドグレル[商品名:プラビックス])が中断されアスピリンの投与は継続した。

 主要エンドポイントは、死亡・心筋梗塞・ステント血栓症・脳卒中・緊急血行再建術の複合で、intention to treat分析にて評価した。

主要複合エンドポイント発生は両群で有意差なし、大出血イベントは継続群で多い

 2011年1月4日~2012年3月3日の間に、1,259例がARCTIC-Interruption試験の適格基準を満たし、各治療群に無作為に割り付けられた(中断群624例、継続群635例)。

 追跡期間中央値は17ヵ月であった(IQR:15~18ヵ月)。その間の主要エンドポイント発生は、中断群27例(4%)、継続群24例(4%)だった(ハザード比[HR]:1.17、95%信頼区間[CI]:0.68~2.03、p=0.58)。

 一方、安全性のエンドポイントでは、STEEPLE大出血イベントが、中断群(1例、0.5%未満)と比べて継続群(7例、1%)のほうが発生する頻度が高かった(HR:0.15、95%CI:0.02~1.20、p=0.073)。また、大出血または小出血イベントも、中断群(3例、1%)と比べて継続群(12例、2%)のほうがより頻度が高かった(同:0.26、0.07~0.91、p=0.04)。

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コメンテーター : 中川 義久( なかがわ よしひさ ) 氏

滋賀医科大学 循環器内科 教授

J-CLEAR評議員