小児期の吸入グルココルチコイド服薬と発育との関連/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2012/09/19

 

 思春期前の小児における吸入グルココルチコイドの使用は、服薬開始後数年間の発育を低下し、大人になった時の身長は低くなるが、発育の低下は進行も累積もしないことが明らかにされた。米国・ニューメキシコ大学のH. William Kelly氏ら小児喘息マネジメントプログラム(CAMP)研究グループが、「服薬開始後1~4年の発育の低下が、成人でも発育を低下するとは考えられない」として、同プログラム参加者を対象に調査した結果で、NEJM誌2012年9月6日号(オンライン版2012年9月3日号)にて発表した。

試験開始時にブデソニド、ネドクロミル、プラセボ投与群に無作為化
 研究グループは、CAMP(Childhood Asthma Management Program)の参加者1,041人のうち943人(90.6%)について、平均24.9±2.7歳時の成人身長を測定・評価した。

被験者は5~13歳時の試験開始時に、ブデソニド(商品名:パルミコート)400μg/日投与群、ネドクロミル(国内未承認)16mg/日投与群、プラセボ投与群の、いずれかに無作為に割り付けられ4~6年の間投与を受けた。

人口統計学的特性、喘息の特性、試験登録時の身長を調整した多重線形回帰分析を用いて、各治療群の成人身長を算出し、プラセボ群と比較した。

身長格差は吸入服薬開始後2年間、1日投与量が増すほど大きく
結果、平均成人身長は、プラセボ群と比較してブデソニド群は1.2cm低く(95%信頼区間:-1.9~-0.5、p=0.001)、ネドクロミル群は0.2cm低かった(同:-0.9~0.5、p=0.61)。

最初の2年間、吸入グルココルチコイドの1日投与量が多いほど成人身長は低くなる関連(1μg/kg体重につき-0.1cm)が認められた(p=0.007)。

ブデソニド群のプラセボ群に対する成人身長の格差は、治療2年後時点で認められた格差(-1.3cm:95%信頼区間:-1.7~-0.9)と同等であった。

ブデソニド群の最初の2年間の発育速度の低下は、主に思春期前の被験者で認められた。

(武藤まき:医療ライター)