急性期統合失調症、2剤目は併用か 切り換えか:順天堂大学 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/09/24 順天堂大学の八田 耕太郎氏ら精神科救急医療機関の多施設共同研究グループ(JAST study group)は、統合失調症の急性期患者でリスペリドンまたはオランザピンの早期治療反応不良(ENR)例について、それぞれへの切り替えvs. 追加併用の検討を行った。結果、リスペリドンENR患者でオランザピンへの切り替えは、オランザピン追加併用よりもわずかだが優れる可能性が、一方でオランザピンENR患者ではリスペリドン追加併用がリスペリドン切り替えよりもわずかに優れる可能性が示されたことを報告した。Schizophrenia Research誌2014年9月号の掲載報告。 検討は、精神科救急医療部門で統合失調症の新規入院急性期患者を適格とし、評価者盲検無作為化試験にて行われた。最初に投与した抗精神病薬(リスペリドン[RIS]またはオランザピン[OLZ])について、ENR(Clinical Global Impressions-Improvement[CGI]尺度:2週時点で4以上)であった患者を、もう一方の抗精神病薬を追加併用する群、または切り替える群に無作為に割り付けて検討した(RIS+OLZ vs. RIS-OLZ、OLZ+RIS vs. OLZ-RIS)。 主な結果は以下のとおり。 ・リスペリドン治療を2週間受けた患者60例のうち、早期治療反応(ER)例は33例、ENRは27例であった。後者の患者のうちRIS+OLZに14例、RIS-OLZに13例が割り付けられた。 ・あらゆる要因による治療中止までの期間について、RIS+OLZ群(54.1日、95%信頼区間[CI]:41.3~67.0日)は、RIS-ER群(同:68.7日、61.2~76.2日)よりも有意に短かった(p=0.050)。 ・一方、RIS-OLZ群(同:58.5日、43.1~73.9日)はRIS-ER群と比較し、有意な差はなかった(p=0.19)。 ・オランザピン治療を2週間受けた患者60例のうち、ER例は36例、ENRは24例であった。後者の患者のうちOLZ+RISに11例、OLZ-RISに13例が割り付けられた。 ・あらゆる要因による治療中止までの期間について、OLZ-RIS群(56.1日、95%CI:40.7~71.5日)は、OLZ-ER群(同:74.9日、68.5~81.3日)よりも有意に短かった(p=0.008)。 ・同期間について、OLZ+RIS群(同:64.6日、49.6~79.6日)はOLZ-ER群と比較し、有意な差はなかった(p= 0.20)。 リスペリドンENR患者でオランザピンへの切り替えは、オランザピン追加併用よりもわずかだが優れる可能性が、一方でオランザピンENR患者ではリスペリドン追加併用がリスペリドン切り替えよりもわずかに優れる可能性が示された。結果を踏まえて著者らは、「これら所見のように日常診療を修正することが妥当か、さらなる検討を行う必要がある」とまとめている。 関連医療ニュース 統合失調症治療、ベンゾジアゼピン系薬の位置づけは オランザピンによる急性期治療、心血管系に影響 統合失調症の急性増悪期、抗精神病薬の使用状況は?:国立精神・神経医療研究C 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Hatta K, et al. Schizophr Res. 2014; 158: 213-222. Epub 2014 Jul 31. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 手術低~中等度リスク重症大動脈弁狭窄症、TAVI vs.SAVRの1年成績/NEJM(2024/04/26) 狭小弁輪を伴う大動脈弁狭窄症へのTAVR、自己拡張型弁vs.バルーン拡張型弁/NEJM(2024/04/26) 若年乳がんサバイバーにおける2次原発性乳がんのリスク因子/JAMA Oncol(2024/04/26) アレクチニブによるALK陽性肺がん術後補助療法をFDAが承認/中外(2024/04/26) うつ病の第2選択治療、機械学習で最適化できるか(2024/04/26) テレビや動画の視聴時間の長さは夜間頻尿リスクに関連(2024/04/26) ChatGPTは医師の10倍の速さで事務作業をこなす(2024/04/26) 1型糖尿病患者の血糖変動の認知機能への影響(2024/04/26) [ あわせて読みたい ] 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>(2012/12/01)