アトピーは学業成績に影響するか

提供元:ケアネット

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公開日:2026/05/19

 

 アトピー性皮膚炎(AD)は、睡眠障害や併存疾患、あるいは心理社会的影響により学業成績を低下させる可能性があるが、集団ベースの縦断的研究によるエビデンスは限られている。英国・London School of Hygiene & Tropical MedicineのRita J. Iskandar氏らは、デンマークおよび英国の小児約78万人を対象とした並行コホート研究において、ADは学業成績の低下と関連するか、またその関連は疾患表現型や社会経済的背景によって異なるかどうかを検討した。JAMA Dermatology誌オンライン版2026年4月8日号掲載の報告。

 本研究は、デンマークおよび英国における、ADを有する小児および有さない小児を対象とした集団ベースの並行コホート研究。デンマークでは、全国的なレジストリから1986~2000年に出生した小児を抽出し、2018年まで追跡調査を行った。英国では、Avon親子縦断研究(ALSPAC)から得られた1991~92年に出生した小児データを、国立生徒データベース(National Pupil Database)と連携させ、2009年まで追跡調査を行った。データ解析は2022年10月~2024年4月に実施された。

 ADは、13歳未満での診断(デンマーク)または11.5歳までの母親から2回以上のADの報告(イングランド)と定義した。デンマークの分析では、遺伝的因子を考慮するため、AD罹患状況が異なり両親を同じくする兄弟姉妹を対象とした反復解析を実施した。

 主要評価項目は、16歳時の義務教育修了時の全国統一試験における不合格の成績(2値アウトカム;ポアソン回帰による割合比)および平均学業成績スコア(連続アウトカム;線形回帰による平均差)であった。

 主な結果は以下のとおり。

・両研究を合わせて、計78万2,837人の小児が対象となった。
・デンマーク(n=77万6,214人、AD患者1万259人、女児38万6,408人[49.8%])では、AD患者と非AD患者の間で、不合格率(12.0%vs.11.2%、調整割合比[aPR]:1.06、95%信頼区間[CI]:1.01~1.12)および平均学業成績(調整平均差:-0.06ポイント、95%CI:-0.11~-0.01)に差は認められなかった。
・活動性AD患者では、非AD患者と比較して不合格率の高さとの関連がみられた(aPR:1.19、95% CI:1.03~1.37)。
・兄弟姉妹間における解析でも同様の結果が得られた。
・イングランド(n=6,623人、AD患者2,967人、女児3,332人[50.3%])では、AD患者は非AD患者に比べて、不合格率がわずかに低く(37.7%vs.47.4%、aPR:0.88、95%CI:0.83~0.93)、平均学業成績が高かった(調整平均差:10.48ポイント、95%CI:6.49~13.86)。
・表現型分析によると、中等度-寛解型(moderate-declining)および中等度-頻発型(moderate-frequent)AD患者の成績が優れることがこれらの結果を主に説明しており、軽度-間欠型(mild-intermittent)または重度-頻発型(severe-frequent)AD患者の成績は、非AD患者または症状のほとんどないAD患者と同程度であった。
・全体として、学業成績について、表現型や社会経済的背景による一貫した差異はみられなかった。

 著者らは、「2つの大規模コホートにおけるトライアンギュレーション(triangulation)アプローチによる検討と多重解析により、ADは義務教育修了時の全国統一試験における学業成績の著しい低下とは関連がない可能性が高いことが示された」とし、「本結果はADを有する小児やその家族、教員や臨床医にとって安心材料となるもの」とまとめている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)