eGFR slopeは腎予後と有意に関連/慈恵医大

提供元:ケアネット

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公開日:2026/04/28

 

 大規模な日本人IgA腎症コホートにおいて、腎機能の経時的変化を示すeGFR slopeと腎予後との関連性を検討した結果、eGFR slopeの悪化は腎予後不良と有意に関連し、独立した予測因子となる可能性が示された。東京慈恵会医科大学の佐々木 峻也氏らによる報告で、Nephrology Dialysis Transplantation誌オンライン版2026年4月16日号に掲載された。

 IgA腎症は進行速度の個人差が大きく、長期予後の評価には時間を要する。そのため、早期に予後を反映する代替エンドポイントは長期的な転帰を理解するうえで重要である。これまでの研究ではeGFR slopeが潜在的な役割を果たす可能性が示唆されているが、その妥当性については十分な検証がなされていなかった。そこで研究グループは、日本の多施設共同研究であるIgA腎症前向きコホート研究(J-IGACS)において、eGFR slopeと腎予後との関連を検討した。

 対象は、腎生検で診断されたIgA腎症患者937例(平均年齢39歳、男性51%)であった。eGFR slopeは、線形混合効果モデルを用いて推定した。中央値6年の追跡期間におけるeGFRの年間変化率を算出し、複合腎アウトカム(eGFRの40%以上低下または腎代替療法導入)との関連を検討した。解析には、縦断データとイベント発生を同時に評価可能なジョイントモデリングを用い、臨床因子および病理学的因子、さらに現在のeGFR値で補正した。

 主な結果は以下のとおり。

・中央値6年の追跡調査期間中に、937例中78例(8.3%)が複合腎アウトカムに至った。
・eGFR slopeの悪化は腎予後不良と有意に関連していた。eGFR slopeが1SD悪化(低下速度が0.31mL/分/1.73m2/年速まる)するごとの複合腎アウトカムのハザード比は1.82であった(p<0.001)。
・ベースライン時に治療を受けていた患者に限定した感度分析では関連性はやや減弱したものの有意性は維持された。eGFR測定値が少なくとも5回得られた患者に限定した解析でも同様の結果が得られた。

 これらの結果より、研究グループは「IgA腎症患者において、eGFR slopeは現在のeGFR値とは独立してさらなる予測情報を提供することが示された。今回の知見は、臨床試験および日常診療におけるリスク層別化において、eGFR slopeが代替エンドポイントとして有用であることを支持する結果となった」とまとめた。

(ケアネット 森)