魚の摂取量が多いほど認知機能の低下速度が遅くなり、認知症の発症率が低くなることが、これまでの疫学研究において一貫して示されている。イタリア・カターニア大学のJustyna Godos氏らは、高齢者の魚の摂取と認知機能との関連性を調査したこれまでの観察研究をシステマティックにレビューした。GeroScience誌オンライン版2026年3月15日号の報告。
レビューの対象となった研究は25件(横断的研究:8件、プロスペクティブ研究:17件)。対象は、主に健康な高齢者(年齢範囲:プロスペクティブ研究のベースライン時18~30歳、65~91歳[年齢スペクトルの上限を網羅])。現在までに発表されているほとんどの研究で調査されている認知機能には、全般的認知機能、記憶(エピソード記憶、ワーキングメモリ)、実行機能(計画、抑制、柔軟性)、注意、処理速度など、さまざまな領域が含まれていた。
主な内容は以下のとおり。
・これまでの研究は、研究デザイン(横断的研究とプロスペクティブ研究)、対象地域、対象者数、評価指標として用いられたツールに関して、大きな違いが認められた。
・研究結果全体を通して、主な知見は一様ではなく、魚の摂取と各認知機能領域との関連性をより強く示唆する研究がある一方で、関連性が認められなかった研究もあった。
・魚の摂取が週1回以上の高齢者において、最も一貫して関連性が認められた認知機能領域は、処理速度、実行機能、意味記憶、全般的認知機能であった。これらは、神経変性疾患および血管性疾患の両方において認知機能障害と密接に関連していた。
・言語記憶および全般的記憶についても正の関連性が認められたが、これらの関連性は一貫性に欠け、多くは多変量調整後に弱まった。
・対照的に、反応時間、言語数的推論、総合スコアとの関連性では一貫性が認められず、複数の完全調整モデルにおいて有意な結果が得られなかった。
著者らは「週1~2回以上の定期的な魚の摂取は、認知機能の維持と関連していることが示唆された。しかし、矛盾する結果もいくつか見られるため、さらなる調査が求められる」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)