高血圧患者約2.6万例を対象とした大規模前向きコホート研究において、生活習慣と心血管疾患および2型糖尿病リスクの関連を検討した結果、健康的な生活習慣の実践は、降圧薬使用の有無にかかわらずこれらのリスク低下と関連しており、高血圧診断後であっても生活習慣の改善度が高いほどベネフィットが大きいことが、米国・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのZixin Qiu氏らによって示された。JAMA Network Open誌2026年3月2日号掲載の報告。
一般集団では、健康的な生活習慣の順守により心血管疾患の予防が可能であることが示唆されている。しかし、高血圧患者において健康的な生活習慣の長期的な順守や診断後の変化と心血管疾患の発症リスクとの関連を検討した研究は限られている。そこで研究グループは、2つの大規模前向きコホートのデータを用いて、高血圧診断後の生活習慣および診断前後の生活習慣の変化と、心血管疾患および2型糖尿病の発症リスクとの関連を検討した。
解析には、Nurses' Health Study(NHS、1986~2014年)およびHealth Professionals Follow-Up Study(HPFS、1986~2014年)において新たに高血圧と診断された参加者が含まれた。追跡期間は、心血管疾患についてはNHSで2020年6月30日まで、HPFSで2016年6月30日まで、2型糖尿病については両コホートとも2019年12月31日までとした。
健康的な生活習慣とは、(1)質の高い食事(代替健康食指数[AHEI-2010]の上位5分の2)、(2)非喫煙、(3)中~高強度の身体活動(150分/週以上)、(4)節度あるアルコール摂取(男性30g/日以内、女性15g/日以内)、(5)適正なBMI(18.5~24.9)の5項目と定義した。生活習慣要因は2~4年ごとに再評価され、各項目を満たすごとに1点を加算し、生活習慣スコア(範囲:0[最も不健康]~5[最も健康])として評価した。主要アウトカムは心血管疾患(致死性/非致死性の冠動脈疾患と脳卒中)および2型糖尿病の新規発症とした。
主な結果は以下のとおり。
・合計2万5,820例の高血圧新規発症者が解析対象となった(平均年齢60.6歳、女性72.6%)。診断時の生活習慣スコアの中央値は3(四分位範囲[IQR]:2~4)であった。
・追跡期間中央値24年(IQR:23~25)で、心血管疾患3,300例、2型糖尿病2,529例の発症を認めた。
・生活習慣スコアが最も高い群(5)は最も低い群(0~1)と比較して、心血管疾患発症リスクは約51%低く(調整ハザード比[aHR]:0.49、95%信頼区間[CI]:0.39~0.61)、2型糖尿病発症リスクは約79%低かった(aHR:0.21、95%CI:0.14~0.30)。
・40歳時点で生活習慣スコアが最も高い群(5)では、最も低い群(0~1)と比較して、平均余命が最大8.2年長いと推定された。
・高血圧診断後に生活習慣スコアが低値(0~3)から高値(4~5)に改善した群は、常に低い群と比較して、心血管疾患(aHR:0.88、95%CI:0.79~0.98)および2型糖尿病(aHR:0.56、95%CI:0.48~0.65)の発症リスク低下と関連していた。
・逆に、診断後に生活習慣スコアが高値から低値に低下した群では、常に高値を維持した群と比較して、心血管疾患(aHR:1.14、95%CI:1.00~1.30)および2型糖尿病(aHR:1.75、95%CI:1.45~2.10)の発症リスク上昇と関連していた。
・生活習慣スコアが1点上昇するごとに、心血管疾患(aHR:0.90、95%CI:0.86~0.95)および2型糖尿病(aHR:0.79、95%CI:0.75~0.83)の発症リスク低下と関連していた。
・総合解析では、降圧薬使用の有無にかかわらず、生活習慣スコアが高いほど心血管疾患および2型糖尿病の発症リスクが低いことが示された。
研究グループは「これらの結果は、健康的な生活習慣を取り入れることで、高血圧の自然経過を大きく変える可能性を示唆している」とまとめた。
(ケアネット 森)