発症後4.5時間以内に静注血栓溶解療法を受けた中等症の虚血性脳卒中患者において、発症後6時間以内の経口抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の開始により、90日時点の機能的アウトカムの改善が得られる可能性が示された。中国・首都医科大学のAnxin Wang氏らTAPIS Investigatorsが、同国で実施した二重盲検プラセボ対照試験「TAPIS試験」の結果を報告した。急性期虚血性脳卒中の患者に対して、静注血栓溶解療法に抗血小板療法を早期に追加することを支持するエビデンスは得られていなかった。Lancet誌2026年5月16日号掲載の報告。
中国の60病院で試験、90日時点の優れた機能的アウトカムを評価
TAPIS試験は、中国の60病院で、発症後4.5時間以内に静注血栓溶解療法を受けた、National Institutes of Health Stroke Scaleスコア4~10の虚血性脳卒中患者を登録して行われた。
研究グループは被験者を発症後6時間以内(血栓溶解療法の前・中・後のいずれか)に、経口投与のアスピリン100mg錠1錠+チカグレロル90mg錠2錠(早期DAPT)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。早期DAPT群は1日目および2~7日目にチカグレロルを投与され、2~90日目は両群に非盲検下でアスピリン100mg錠1錠が投与された。患者、診療担当医、治験責任医師は割り付けを盲検化された。
有効性の主要アウトカムは、90日時点の優れた機能的アウトカム(修正Rankinスケールスコア0~1)。安全性の主要アウトカムは、36時間以内の症候性頭蓋内出血であった。
有効性の評価に有意差、ただし症候性頭蓋内出血のリスク増大は排除できない
2024年4月3日~2025年9月30日に、1,382例が早期DAPT群(690例[49.9%])、プラセボ群(692例[50.1%])に無作為化された。年齢中央値は65.6歳(四分位範囲:58.3~72.0)、男性991例(71.7%)、女性391例(28.3%)であった。
90日時点で、早期DAPT群474例(68.7%)、プラセボ群429例(62.0%)で優れた機能的アウトカムを達成した(リスク比[RR]:1.11、95%信頼区間[CI]:1.03~1.20、p=0.0089)。
36時間以内の症候性頭蓋内出血の発現は、早期DAPT群6例(0.9%)、プラセボ群5例(0.7%)で報告された(RR:1.20、95%CI:0.37~3.93、p=0.76)。
結果を踏まえて著者は、「症候性頭蓋内出血に関しては対照群との有意差は認められなかったが、CI値の範囲が大きく、リスク増大への懸念を排除することはできない」と述べている。
(ケアネット)