統合失調症、うつ病のガイドライン教育が日本の精神科治療に及ぼす影響は?

提供元:ケアネット

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公開日:2026/04/01

 

 教育的介入は、直接介入を受ける参加者だけでなく、同じ組織内の非参加者にも影響を与える可能性がある。北海道大学の堀之内 徹氏らは、リアルワールドにおける臨床診療ガイドラインの実施において、組織内における教育的スピルオーバー効果が生じるかどうかを検証した。Asian Journal of Psychiatry誌2026年4月号の報告。

 2016〜24年に精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究(EGUIDE)プロジェクトに参加した298施設における、統合失調症(2万2,032例)およびうつ病(1万1,207例)の入院患者の退院データを収集した。患者は、精神科医の参加および施設内での参加状況に基づき、グループ1(精神科医:不参加、施設内:不参加)、グループ2(精神科医:不参加、施設内:参加)、グループ3(精神科医:参加、施設内:参加)の3つのグループに分類した。主要アウトカムは、ガイドライン推奨治療の実施率(品質指標:QI)とした。EGUIDEのトレーニング効果は、順序変数(グループ1<グループ2<グループ3)としてモデル化した。年齢、性別、施設の種類を調整したロジスティック回帰分析を用いてオッズ比(OR)を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・統合失調症患者では11のQIのうち9つ、うつ病患者では7つのQIのうち5つで有意な正の関連が認められた(例:QI-S1:治療抵抗性統合失調症の診断評価、調整OR:1.98、p<2.78×10-192)。
・ガイドライン順守率は、グループ1からグループ3にかけて順次増加が認められた。

 著者らは「本研究は、非ランダム化実臨床において、教育的スピルオーバー効果が参加した精神科医だけでなく同じ施設内の参加していない精神科医にも影響を及ぼすことを実証した初めての研究である。これらの知見は、ガイドライン実施戦略において施設レベルのスピルオーバー効果を活用することの重要性を強調している」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)