更年期症状のほてりや動悸、心血管リスクのアラートに/日本循環器協会

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2026/02/18

 

 日本循環器協会が主催するGo Red for Women Japan健康セミナー「赤をまとい女性の心臓病を考えるin東京」が2月7日に一橋大学の一橋講堂で開催された。今回で3回目を迎える本イベントは、循環器疾患の診断・治療における性差などを患者自身が学ぶための機会として、米国心臓協会(AHA)のサポートのもとで行われている。今回、副島 京子氏(杏林大学 循環器内科)と塚田(哲翁)弥生氏(日本医科大学武蔵小杉病院 総合診療科)が心疾患好発年齢の女性らに向け、受診が必要な症状などについて解説した。

心房細動の早期発見、健診の30秒に頼るのは限界

 現在、日本人において100万人超の患者が存在するとされる心房細動(AF)。医療者にとってはおなじみの疾患であっても、患者への認知度はいまだに低い。AFのリスク因子として、とくに女性では高血圧や弁膜症、男性では冠動脈疾患、心筋梗塞の既往などが挙げられるが、AFに特異的かつ典型的な症状ではないことから、患者側の発見の遅れが医療者側の診断・治療の遅れにもつながるため課題となっている。

 今回、患者へのAFの認知度向上のために開催された本セミナーにおいて、副島氏は「女性に多い“見逃し不整脈”-更年期との違い、正しく知る」と題して講演。同氏は女性患者が病院受診をためらう傾向にある点を指摘し、「胸の違和感、息切れ、だるさなど更年期障害の症状と似ていること、男性よりも我慢強いことが影響している可能性がある」と述べ、会場内の女性らに向けて「心房細動と更年期障害の症状は共通することが多いが、当てはまる症状(軽い息切れ、動悸など)がある場合には心房細動を疑ってもよい。女性は脳梗塞を発症しやすい、女性患者へのカテーテルアブレーションの実施率が少ないなどの女性特有のリスクがあるため、症状が悪化する前に受診してほしい」と訴えた。

 また、健康診断で心電図を実施していたとしても「健診は1年分の30秒、そこで異常を検知するのは限界があり、無症状でも発作性AFが出現する可能性がある」とし、家庭でできるAF発見法(自己検脈、家庭用心電計やスマートウォッチの活用)の実践を促した。さらに、「自動診断のコメントが表示されたら、スルーせずに受診につなげてほしい」と話し、「CARE(C:併存疾患、リスク因子の治療、A:脳梗塞・血栓予防、R:症状軽減―リズム/レートコントロール、E:再評価)1)を医師のみならず、看護師や薬剤師にも共有するようにしてほしい」と強調した。

更年期症状が強かったか否かも重要

 続いて、塚田氏が「一人ひとりの違いに寄り添う循環器病のケア」と題し、心血管疾患(CVD)発症リスクが高い女性患者増などを列挙。ほてりや動悸は更年期障害特有の症状とされ一過性のものと判断される傾向にあるが、「このような血管運動神経症状(VMS)はVascular SOS2)であるため、症状を我慢するのではなく“血管のメンテナンスを始める合図”と捉え、症状が強い場合には内科などを受診してほしい」と述べ、「更年期症状は将来の心血管疾患リスクの氷山の一角に過ぎない」と指摘した。

<CVDリスクが高いとされる女性患者像>
・更年期障害のなかでも、ほてりや動悸が強い
・出産時に妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、早産、死産を経験
・早発閉経(45歳未満)
・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の既往
・前兆のある片頭痛
・痩せ過ぎ
・筋力低下

 50歳は女性の“身体の曲がり角”といわれ、とくに日本人女性の場合には、健康寿命と平均寿命の乖離が生じ、12年間の「寝たきり」リスクを伴うとされる。そのため、50歳以降では、「シミ・シワを見るのと同じように、健康診断の検査結果をチェックしてほしい。年のせいで片付けず、自分自身を過信しないでほしい」と強調した。一方で、女性の身体は運動による投資対効果が高い点にも触れ、「女性の場合は少ない運動量で大きな予防効果が得られる。週150分程度の中強度運動で冠動脈疾患リスク低下も昨年に報告されている3)」と説明し、運動が続かない患者でも効果的にリスク低下につながる方法を以下のように紹介した。

<CVDリスクの予防方法>
・10分まとめ歩き
・座り過ぎは「中断」(Break the Sit)
・誰かと歩く(フレイル予防)
・家事や庭いじり

 また、運動が続かない理由は決して患者個人のせいだけではなく、生活環境が要因であることが近年の研究から明らかになっている。同氏は「世界的に歩きやすい街づくりが求められている。歩きやすい街に住む人は高血圧や糖尿病、肥満リスクが低い傾向があることが示された4)」とコメントした。Take home messageとして「(CVDの)サインを見逃さない、自分の(検査)数値を知る、プラス10分のウォーキング、筋肉を守る、この4つで、いつまでも赤いドレスの似合う女性を目指してほしい」と締めくくった。

Go Red For Womenとは

 Go Red for Womenは、“心臓病が女性の最大の死因であることを多くの人に知ってもらう”ために、AHAが2004年から始めた女性の循環器疾患の予防・啓発のための活動である。「教育」「疾患啓発」の2本柱を中心に、毎年2月第1週金曜日に赤い何かを身に付けるなどして啓発活動を行っている。この活動が今では世界50ヵ国以上に広がっており、国内では日本循環器協会が中心となり2024年よりこの活動がスタートした。今回は上記2名の医師による講演のほか、パネルディスカッションには元テニスプレーヤーの杉山 愛氏を迎え、一般参加者を盛り上げた。なお、今年も東京会場のほかに大阪・梅田スカイビルでも2月21日に開催が予定されている。

(ケアネット 土井 舞子)