乳製品と認知症リスク、チーズとヨーグルトで関連が逆の可能性~大崎コホート

提供元:ケアネット

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公開日:2023/06/28

 

 日本人高齢者における乳製品摂取と認知症発症リスクとの関連について東北大学のYukai Lu氏らが調査したところ、総乳製品摂取量が多いほど認知症発症リスクが低いという用量反応関係は確認できなかったが、相対的に少ない摂取量(第2五分位)で認知症発症リスクが低い可能性が示された。また、乳製品別の摂取頻度と認知症発症リスクの関連については、牛乳では低い摂取頻度(月1~2回)で認知症発症リスクが低い可能性が示された。さらに、ヨーグルトでは毎日摂取すると認知症発症リスクが低い一方、チーズでは毎日摂取するとリスクが高い可能性が示唆された。European Journal of Nutrition誌オンライン版2023年6月19日号に掲載。

 著者らは、65歳以上の障害のない日本人高齢者1万1,637人を最長5.7年間(平均5.0年間)追跡した大崎コホート2006研究を用いて、認知症発症と乳製品摂取の縦断的解析を行った。牛乳、ヨーグルト、チーズの摂取量に関するデータは、有効な食品摂取頻度調査票を用いて収集した。総乳製品摂取量は、牛乳、ヨーグルト、チーズの1日摂取量の合計として算出し、男女別に5分位(低いほうからQ1~Q5)に分類した。各乳製品の摂取頻度は「摂取しない」「月1~2回」「週1~2回」「週3~4回」「ほぼ毎日」の5群に分類した。認知症発症の多変量ハザード比(HR)と95%信頼区間(95%CI)をCox比例ハザードモデルにより推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・5万8,013人年の追跡期間中に946人が認知症を発症した。
・1次解析において、総乳製品摂取量と認知症発症リスクの関連については、Q1を基準とすると、Q2では認知症発症リスクのわずかな減少が認められた(完全調整HR:0.90、95%CI:0.73~1.10)が、Q3~Q5はQ1と同じレベルで、傾向性もみられなかった(p for trend=0.937)。このことから、低い総乳製品摂取量(Q1)で認知症発症リスクが低いことと関連している可能性が示された。
・牛乳の摂取頻度と認知症発症リスクの関連については、月1~2回摂取する人は、摂取しない人と比べて認知症発症リスクが低かった(完全調整HR:0.76、95%CI:0.57~1.02)が、傾向性はみられなかった(p for trend=0.989)。このことから、低い牛乳摂取頻度(月1~2回)は認知症発症リスクが低いことと関連している可能性が示された。
・ヨーグルトの摂取頻度と認知症発症リスクの関連については、毎日摂取する人で認知症発症リスクが低かった(完全調整HR:0.89、95%CI:0.74~1.09)。
・一方、チーズを毎日摂取する人は認知症発症リスクが高かった(完全調整HR:1.28、95%CI:0.91~1.79)。
・最初の2年間の認知症発症例を除外した感度分析での結果は1次解析結果と一致し、さらにヨーグルト摂取は認知症発症リスクと逆相関する可能性が示された(p for trend=0.025)。

 本研究で示唆されたヨーグルト摂取頻度が高いと認知症発症リスクが低い可能性について、著者らは「このベネフィットがヨーグルト摂取そのものによるのか、あるいは健康的な食事パターンの一部としてなのかを確認するためには、さらなる研究が必要」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)