コロナ2価ワクチンブースター、入院/死亡抑制効果は従来ワクチンの2倍/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2023/02/02

 

 2022年8月31日、米食品医薬品局(FDA)は、起源株由来のスパイクタンパク質を含むmRNAとオミクロン変異株BA.4/5株由来のスパイクタンパク質を含むモデルナおよびファイザー製の2価ワクチンを、1次接種またはブースター接種後少なくとも2ヵ月以降のブースター接種用に緊急使用できるように承認した。FDAの承認は、これら2種類の2価ワクチンの非臨床データ、オミクロン変異株BA.1系統のmRNAを含む2価ワクチンの安全性と免疫原性のデータ、および1価ワクチンの安全性と有効性のデータに基づいて行われたものである。9月1日以降、この2種類の2価mRNAワクチンは、米国やその他の国々で、12歳以上の人のブースター接種用として、1価ワクチンに代わって使用されている。今回、オミクロン変異株BA.4.6、BA.5、BQ.1、BQ.1.1による重症感染に対するこれら2価ワクチンの有効性についての大規模コホート研究のデータが、NEJM誌オンライン版2023年1月25日号のCORRESPONDENCEに掲載された。2価ワクチンによるブースター接種の入院/死亡抑制効果は、従来ワクチンによるブースター接種の2倍以上だった。

 米国・Gillings School of Global Public HealthのDan-Yu Lin氏らによる本研究は、同グループによる先行研究のデータを使って行われた。2022年9月1日~12月8日に2価ワクチンでブースター接種が行われた99日間と、それ以前の2022年5月25日~8月31日の1価ワクチンでブースター接種が行われた99日間の新たなデータを解析した。入院または死亡に至る感染を重症と定義し、1価・2価ワクチンの1回目のブースター接種における有効性を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・5月25日~8月31日に、対象者624万2,259人中29万2,659人が1価ワクチンのブースター接種を受けた。この期間に発生したCOVID-19関連入院報告の61/1,896例、死亡報告の23/690例が1価ワクチンのブースター接種後に発生した。
・9月1日~11月3日に、対象者628万3,483人中107万136人が2価ワクチンのブースター接種を受け、この期間に発生したCOVID-19関連入院報告の57/1,093例、死亡報告の17/514例が2価ワクチンのブースター接種後に発生した。
・ブースター効果は約4週間でピークに達し、その後低下した。12歳以上の全参加者において、ブースター接種後の15~99日目の入院を伴う重症感染に対するワクチンの有効性は、1価ワクチン25.2%(95%信頼区間[CI]:-0.2~44.2)、2価ワクチン58.7%(95%CI:43.7~69.8)、その差は33.5ポイント(95%CI:2.9~62.1)であった。
・入院または死亡に至る重症感染に対するワクチンの有効性は、1価ワクチン24.9%(95%CI:1.4~42.8)、2価ワクチン61.8%(95%CI:48.2~71.8)、その差は36.9ポイント(95%CI:12.6~64.3)だった。

(ケアネット 杉崎 真名)

原著論文はこちら

Lin Dan-Yu, et al. N Engl J Med. 2023 Jan 25.[ Epub ahead of print]