統合失調症・うつ病の頓服を含む退院時処方~EGUIDEプロジェクト

さまざまなガイドラインにおいて、統合失調症やうつ病の薬物治療では、単剤療法が推奨されている。定期処方による治療はいくつかの研究で報告されているが、頓服使用を含む薬物療法に関する報告は十分ではない。北里大学の姜 善貴氏らは、頓服使用を含む薬物療法の内容を評価し、定期処方との関連を明らかにするため、本研究を実施した。その結果、向精神薬の頓服使用を考慮すると、統合失調症およびうつ病に対する退院時の薬物治療において単剤療法率および他の向精神薬未使用率は減少することが報告された。著者らは、高い単剤療法率および定期処方での他の向精神薬の未使用は、向精神薬の頓服使用の減少につながる可能性があるとしている。Annals of General Psychiatry誌2022年12月26日号の報告。
「精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究(EGUIDEプロジェクト)」のデータを用いて、退院時における薬物カテゴリごとの向精神薬の頓服使用の有無を調査し、その割合を診断疾患別に評価した。統合失調症患者における退院時の抗精神病薬単剤療法率および他の向精神薬未使用率、うつ病患者における退院時の抗うつ薬単剤療法率および他の向精神薬未使用率を、向精神薬の頓服使用を含む定期処方ごとに医療の質指標(QI)として算出した。各診断疾患における定期処方のQI値、定期処方と頓服使用を含む処方のQI比を算出するため、スピアマン順位相関係数を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・退院時の向精神薬の頓服使用率は、統合失調症で28.7%、うつ病で30.4%であり、診断疾患による有意な差は認められなかった。
・薬物カテゴリごとの頓服使用率は、統合失調症では抗精神病薬と抗パーキンソン薬が有意に高く、うつ病では抗不安薬と催眠鎮静薬が有意に高かった。
・QIは、両疾患ともに、定期処方よりも頓服使用を含む退院時処方で低かった。
・定期処方のQI値と、定期処方と頓服使用を含む処方のQI比との間に、正の相関が認められた。
(鷹野 敦夫)
関連記事

統合失調症、うつ病患者に退院時使用されている頓服薬の傾向
医療一般 日本発エビデンス(2022/02/28)

うつ病治療ガイドラインの実践状況を把握する客観的指標IFS
医療一般 日本発エビデンス(2023/01/13)

統合失調症まとめ【クローズアップ!精神神経 7疾患】
クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26)
[ 最新ニュース ]

コントロール不良高血圧、アルドステロン合成阻害薬lorundrostatが有望/JAMA(2023/09/27)

久しぶりに『貧乏物語』を思い出しました!(解説:後藤信哉氏)(2023/09/27)

通院時間増で遺伝子異常にマッチした治験参加率が低下/国立がん研究センター(2023/09/27)

強迫症併発双極性障害に対する補助療法、アリピプラゾールvs.リスペリドン(2023/09/27)

精神的苦痛の大きい白斑患者の特徴(2023/09/27)

HR+乳がんで免疫チェックポイント阻害薬が期待できる可能性?/昭和大ほか(2023/09/27)

閉塞性睡眠時無呼吸のCPAP治療で長引く咳や胸焼けも改善か(2023/09/27)

脂肪が効率よく燃焼される運動強度は個人差が大きい(2023/09/27)

数字が小さな背番号はアメフト選手を細く見せる?(2023/09/27)
[ あわせて読みたい ]
エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11)
医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01)
アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11)
アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11)
診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17)
今考える肺がん治療(2022/08/24)
あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09)
「後継者採用」という甘い誘いに乗ったら…【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第41回(2022/07/08)
「診療所、知人に売るから大丈夫」、それ本当に大丈夫??【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第40回(2022/06/06)
Dr.金井のCTクイズ 初級編(2022/05/17)