血中デュピルマブ値と治療反応、有害事象は関連するか?

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2022/12/07

 

 デュピルマブ治療を受けるアトピー性皮膚炎(AD)成人患者の治療反応および有害事象は、血中デュピルマブ値と関連しているのか。オランダ・ユトレヒト大学のLotte S. Spekhorst氏らは、前向きBioDayレジストリのデータを利用した臨床前向き観察コホート試験で、被験者の16週時点の血中デュピルマブ値は広範囲にわたったが、1年時点の評価で治療反応や有害事象との関連は認められなかったことを明らかにした。

 AD成人患者へのデュピルマブ用量は隔週300mgとされている。今回の結果を踏まえて著者は、「デュピルマブの奏効は、インターロイキン-4(IL-4)受容体サブユニットαをターゲットとしていることに依存しており、患者間のばらつきが奏効の不均一性を生み出している可能性がある」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年11月2日号掲載の報告。

 研究グループは、AD成人患者における16週時点の血中デュピルマブ値を評価し、血中デュピルマブ値と治療反応および有害事象との関連を調べる検討を行った。被験者は、前向きBioDayレジストリの登録患者で、デュピルマブ治療を開始済みで16週時点の血清サンプルを入手できた成人患者であった。全被験者は、ユトレヒト大学でBioDayプロトコルに従って治療を受け、デュピルマブ負荷用量600mgを皮下投与され、その後隔週で300mgを投与された。

 主要評価項目は、ベースライン、16週時点、52週時点でEczema Area and Severity Index(EASI)を用いて評価したAD疾患重症度であった。

 治療反応は、対ベースラインのEASIスコアの減少率(EASI 90は90%減少など)と、EASIカットオフスコアの絶対値が7以下(コントロールされたAD)で定義。有害事象は1年間記録された。16週時点で血中デュピルマブ値と治療反応を測定して解析。多変量ロジスティック回帰モデルを用いて、共変量の年齢と性別を考慮した16週時点の血中デュピルマブ値で、52週時点の奏効の予測値(EASI 90;EASI≦7)と有害事象を確認した。16週前に投与量を調整・中止した患者は除外し、2022年1月~6月にデータを解析した。

 主な結果は以下のとおり。

・合計295例のAD患者(平均年齢41.5[SD 15.9]歳、男性170例[57.6%])において、治療16週時点の血中デュピルマブ中央値は86.6μg/mL(四分位範囲[IQR]:64.6~110.0[範囲:10.1~382.0])であった。
・16週時点で、レスポンダー(EASI<50、50、75または90)であった被験者において血中デュピルマブ値に有意差はみられなかった。
・多変量ロジスティク回帰分析の結果、16週時点の血中デュピルマブ値は長期反応性(EASI 90のオッズ比[OR]:0.96[95%信頼区間[CI]:0.90~1.04]、p=0.34)(EASI≦7のOR:1.03[95%CI:0.93~1.14]、p=0.55])および有害事象(OR:1.01[95%CI:0.95~1.07、p=0.83])の予測因子とはならなかった。

(ケアネット)