新生児への毎日の保湿剤、アトピー性皮膚炎を予防しない

生後1年間、保湿剤を毎日塗布しても、アトピー性皮膚炎への予防効果は認められなかったことが、英国・ノッティンガム大学のLucy E. Bradshaw氏らが行った無作為化試験「Barrier Enhancement for Eczema Prevention(BEEP)試験」の結果、示された。食物アレルギー、喘息、花粉症への予防効果も認められなかった。保湿剤塗布のアトピー性皮膚炎/湿疹への予防効果については議論が分かれている。Allergy誌オンライン版2022年10月19日号掲載の報告。
BEEP試験では、アトピー性皮膚炎およびアトピー性の症状に対する生後1年間の毎日の保湿剤塗布の効果を、5歳まで評価した。
アトピー性疾患の家族歴がある新生児1,394人を、1対1の割合で無作為に2群に割り付け、毎日の保湿剤塗布+標準的スキンケアをアドバイス(保湿剤塗布群:693人)または標準的スキンケアのみをアドバイス(対照群:701人)した。
保護者に対する質問票により、3歳、4歳、5歳時に長期フォローアップを行った。主要評価項目は、保護者の報告に基づくアトピー性皮膚炎および食物アレルギーの臨床診断とした。
主な結果は以下のとおり。
・保湿剤塗布群の保護者のほうが、5年間にわたり保湿剤塗布の頻度が高かったと回答した。
・生後12~60ヵ月(5歳)にアトピー性皮膚炎と臨床診断されたのは、保湿剤塗布群188/608例(31%)、対照群178/631例(28%)であった(補正後相対リスク:1.10、95%信頼区間[CI]:0.93~1.30)。
・保湿剤塗布群でも、3歳時、4歳時時点ですでに前年度の食物反応について報告した保護者がいたが、5歳時までに医師により診断された食物アレルギーの累積発生率は、保湿剤塗布群15%(92/609例)、対照群14%(87/632例)で、同程度であった(補正後相対リスク:1.11、95%CI:0.84~1.45)。
・喘息、花粉症の累積発生率も両群で類似していた。
(ケアネット)
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