ラブリズマブ、視神経脊髄炎スペクトラム障害患者で73週間再発ゼロを達成/アレクシオン

提供元:ケアネット

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公開日:2022/11/09

 

 アレクシオンは、2022年11月2日付のプレスリリースで、第III相CHAMPION-NMOSD試験において、ラブリズマブを投与された抗アクアポリン4抗体陽性の視神経脊髄炎スペクトラム障害(以下、NMOSD)成人患者群が、外部対照であるエクリズマブのPREVENT試験のプラセボ群と比較して、再発リスクが有意に低いことが示されたことを2022年欧州多発性硬化症学会(ECTRIMS)会議で発表されたと報告した。

 CHAMPION-NMOSD試験は、成人患者(58例)を対象としてラブリズマブの安全性および有効性を評価する非盲検第III相多施設国際共同試験である。NMOSDの再発は長期的な機能障害をもたらす可能性があり、またすでに有効な治療選択肢が存在していたため、本試験では倫理的理由からプラセボ対照群が設定されず、ラブリズマブ投与群は、外部対照としてエクリズマブのPREVENT試験のプラセボ群と比較された。本試験の主要評価項目は、独立評価委員会により判定された初回の治験中再発までの期間と設定されており、ラブリズマブを投与された患者は全員、73週(中央値)にわたる治療期間を再発と判定されることなく経過した(再発リスク低下率:98.6%、ハザード比:0.014[95%信頼区間[CI]:0.000~0.103]、p<0.0001)。48週時点の無再発率は、外部対照のプラセボ群では63%であったのに対し、ラブリズマブ群では100%であった。また本試験では、独立評価委員会により判定された治験中再発の年間再発率(判定された再発数の合計を患者年数の合計で割った値)や、Hauser Ambulation Index(可動性の評価尺度)で測定された可動性(歩行機能)のベースラインからの臨床的に重要な悪化などの副次評価項目も達成された。

 全体として、ラブリズマブの安全性および忍容性は、これまでの臨床試験や実臨床下での使用時の結果と一致しており、新たな安全性の懸念は認められなかった。最もよく見られた(患者の10%以上)有害事象(AE)は、COVID-19(24%)、頭痛(24%)、背部痛(12%)、関節痛(10%)、尿路感染(10%)であった。COVID-19 症例はすべて非重篤であり、ラブリズマブとは無関係と見なされている。髄膜炎菌感染症が2例報告されたが、2例とも後遺症なく完治し、1例は試験を継続している。56例の患者が、延長投与期に移行し、現在も治療を継続している。

 NMOSDは希少疾患であり、脊髄や視神経などの中枢神経系に影響を与える自己免疫疾患である。ほぼすべてのNMOSD患者が神経症状の新規出現や悪化などを引き起こす再発を繰り返し経験し、各再発は重度かつ予測不能で、障害が一生残ることもある。

 CHAMPION-NMOSD試験の主任治験責任医師であるSean J. Pittock氏は「CHAMPION-NMOSD試験では、73週間(中央値)の治療期間にわたって再発が見られなかった。これは、ラブリズマブの8週間ごとの投与によって再発リスクが持続的に低下しうることを示しているとともに、NMOSDの治療におけるC5補体阻害の有効性を強調するものだ」と述べた。また、NMOSDを対象とした Guthy-Jackson Charitable Foundationのメディカルアドバイザーの座長でもあるMichael Yeaman氏は、「近年、抗AQP4抗体陽性のNMOSD患者に安全かつ有効な治療を提供する活動において、有意義な進展が見られている。この希少疾患は、可動性、視力、筋力、平衡機能など、日常生活のあらゆる面で妨げとなる可能性があるが、患者やその家族と日々接する中で得られる知見に基づき、革新的な研究や臨床試験を続けることで、個々のニーズや生活習慣に合った新たな治療の選択肢を発展させ、患者を力付けることができる」と述べた。アレクシオンのシニア・バイスプレジデントであり、開発・安全性部門長であるGianluca Pirozziは、「CHAMPION-NMOSD試験は、希少疾患を対象とした科学的に厳密で臨床的にも意義ある臨床試験のデザイン、および実施に必要なイノベーションを達成した注目すべき実例となる。本試験では、患者の声を聞き、保健当局と連携しながら、患者のニーズを第一に考え、患者にとって最も重要な指標を評価した。今回得られた有意義な結果に加え、ラブリズマブがNMOSDのコミュニティのために治療を向上させうることを大変喜ばしく思う」と語った。

(ケアネット)