若手医師は帰属意識が高い?首都圏出身者も移住希望?/医師1,000人アンケート

提供元:ケアネット

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公開日:2026/02/17

 

 厚生労働省が2025年12月23日、『令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況』1)を公表し、都道府県別にみた人口10万人当たりの医師数などが明らかになった(参考:「医師数公表、人口当たり医師数が最も多い県・少ない県/厚労省」)。厚生労働省ではこれを基盤として医師偏在をさらに客観的に把握するため、2018年度より「医師偏在指数」も公表している。また、2025年11月に行われた医師偏在対策に関する検討会では、労働時間などの違い、地域ごとの医療需要(医療ニーズ)などといった考慮すべき5つの要素が示され、2027年度からの次期医師確保計画に向けて必要な見直しが検討されるという2)
*計算式は、標準化医師数÷[地域の人口(10万×地域の標準化受療率比)]で、数値が低いほど医師不足を表す。現行は「医師の性別・年齢分布」が考慮されているが、2027年度より5つの要素(医療需要[ニーズ]及び将来の人口・人口構成の変化、患者の流出入等、へき地等の地理的条件、医師の性別・年齢分布、医師偏在の種別[区域、診療科、入院/外来])が考慮される予定。

 そこで、このような状況を踏まえ、ケアネットでは医師が勤務地選択の際にどのような条件を重視するのかなどを調査。20~60代の会員医師1,018名を対象に、移住(Iターン・Jターン・Uターン)3)希望の有無、将来的に希望する勤務地・定住先とその理由、勤務地を決定したタイミングについて、アンケートを行った

若手の地方出身者は帰属意識が高い?首都圏出身者は?

 まず、回答者の出身エリアと主な勤務エリアは以下のとおりであった。

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<出身エリア>
北海道:5.8%  東北:7.2%  関東:22.3%  中部:16.7%  近畿:21.3%  
中国:8.3%   四国:4.3%  九州・沖縄:12.8%  海外:0.6%

<現在の主な勤務エリア>
北海道:5.3%  東北:6.1%  関東:30.1%  中部:16.1%  近畿:19.6%
中国:8.3%   四国:3.9%  九州・沖縄:10.3%  海外:0.2%
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 将来的な勤務希望地(出身地や実家[義実家を含む]のある地域での勤務希望)について、全体の60%超が「はい(いつか戻りたい)」「現在、出身地・実家のある地域で働いている」と回答。また、すでに地元などで勤務している医師は40代以上では4割を超えていた。

 今回、本アンケート結果のp.12では、参考までに年代・出身地別の移住意向率も示した。現在、県外に勤務し将来的に移住を希望する割合は20代で高く(47.7%)、首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)を除外した場合にも高い傾向であった。また、驚いたことに、首都圏出身者(263人)のうち85人が首都圏外で勤務していたが、そのうちの7割は戻る意向を示さなかった。一方で、東北エリア、中国エリア出身者の県外勤務者の移住意向は低かった(それぞれ9.1%、7.4%)。

 なお、診療科別(内科・外科・その他)での希望有無の違いを比較すると、外科系医師の移住希望はやや少ない傾向であった。

希望地の選択理由、20代と60代で共通する理由

 本結果から各年代での勤務地選択理由の傾向が明らかになった。20代は「地域/へき地医療への貢献」(18.5%)、30~40代は「子育て・教育環境」(各25.0%、14.9%)を重視する傾向にあった。50代以降では、「親の介護/実家管理」などの問題もやや増加した。60代以降でも約2割の医師は「地域/へき地医療への貢献」を選択していた。

 各年代の選択理由については、以下のようなコメントも寄せられた。

<20代>
・地域枠(山梨県出身/山梨県勤務・糖尿病・代謝・内分泌内科)
・出世するためにどこへでも行きたいから(兵庫県出身/千葉県勤務・病理診断科)
・家賃が高い(大阪府出身/東京都勤務・眼科)

<30代>
・義務だったため(新潟県出身/新潟県勤務・内科)
・医局を辞め新しい居住地を探す際に、地元が便利なため(神奈川県出身/兵庫県勤務・神経内科)

<40代>
該当コメントなし

<50代>
・子を保育園に預けられないとき(感染症など)、実家にみてもらうため。教授から「実家がないと復帰は無理」と言われ、辞めることを暗に勧められた(岩手県出身/岩手県勤務・心療内科)
・需要と供給、利便性、将来性などのバランス(東京都出身/山口県勤務・精神科)

<60代>
長女だから仕方ない(大阪府出身/大阪府勤務・小児科)

将来の勤務先、20~30代が意識する時期は…

 将来の勤務地を意識する/した時期については、各年代ともに「意識したことがない」医師が最も多かったものの、その傾向は若手になるほど減少に転じている。年代別でみると、20~30代は「前期研修時」(各25.0%、16.2 %)、40代は「医学部入学時」(10.9%)、50代は「親の健康状態の変化」(9.3%)、60代は「入局時」(12.6%)という結果であった。

 このほかのアンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。
『将来の希望勤務地は?いつ決めた?/医師1,000人アンケート』

(ケアネット 土井 舞子)