コロナ治療薬「ロナプリーブ」、発症予防と無症状感染者治療に適応拡大申請/中外

提供元:ケアネット

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公開日:2021/10/13

 

 中外製薬は10月11日付のプレスリリースで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬「ロナプリーブ」について、濃厚接触者の発症予防および無症状感染者への治療薬として適応拡大を申請したと発表した。本剤は点滴静注で承認されているが、今回、皮下注射を可能とする用法追加も併せて申請。より汎用性が高まることが期待される。

 ロナプリーブは、SARS-CoV-2に対する2種類のウイルス中和抗体(カシリビマブ+イムデビマブ)を組み合わせ、COVID-19に対する治療および予防を目的として、米・リジェネロン社などが開発。軽度~中等度COVID-19外来患者への治療薬として、7月に厚生労働省が特例承認した。

 今回の申請は、▽COVID-19 の予防および無症状の感染者を対象とした海外第III相臨床試験(REGN-COV 2069)の成績▽投与量・投与方法の検討を目的とした海外第II相臨床試験(REGN-COV 20145)の成績▽日本人における安全性と忍容性、薬物動態を評価する国内第I相臨床試験(JV43180)の成績に基づくもの。

 このうちREGN-COV 2069試験では、COVID-19の家庭内濃厚接触者を対象に予防コホートを実施。ロナプリーブ投与により、試験開始時に感染していなかった人の症候性感染の発症リスクが81%減少することを示した。一方、新規感染が確認された無症候性患者を対象に実施した治療コホートでは、ロナプリーブ投与により、症候性COVID-19に進行するリスクが31%減少することを示した。有害事象は、ロナプリーブ群の20%(265/1,311例)、プラセボ群の29%に発現し、重篤例はロナプリーブ群の1%(10例)、プラセボ群の1%(15例)で認められた。

 中外製薬は、迅速な審査を求め、このたびの申請も特例承認の適用を希望している。

(ケアネット 鄭 優子)