統合失調症に対する第2世代抗精神病薬の副作用~Webベース横断研究

提供元:ケアネット

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公開日:2020/08/19

 

 統合失調症治療に用いられる抗精神病薬の副作用は、大きく異なることがよく知られている。しかし、患者目線でのこれらの副作用による機能への影響については、あまりわかっていない。米国・西ミシガン大学のRajiv Tandon氏らは、第2世代抗精神病薬の主要な副作用が、機能やQOLにどのような影響を及ぼすかを明らかにするため検討を行った。Annals of General Psychiatry誌2020年7月13日号の報告。

 米国、カナダ、オーストラリア、スペイン、イタリア、ノルウェー、デンマークの成人統合失調症患者から報告された副作用に関する横断的なWebベース調査を実施した。本調査には、社会人口統計学的および臨床的な質問、QOLの評価尺度(Q-LES-Q-SF)、抗精神病薬の副作用評価尺度(GASS)を含めた。副作用を8つ(手や腕のふるえ、落ち着きのなさ、睡眠の困難さ、日中の眠気、意識がなくなる/無気力な感じ、めまい/失神、セックスを楽しめない、体重増加)に分類し、機能やQOLへ及ぼす影響に関する質問を追加した。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者数は435例(平均年齢:38歳、女性の割合:53.8%)であった。
・Q-LES-Q-SF合計スコアでは、患者のQOLに対する満足度は、中程度であった(スコア:44.3[14~70])。
・最も一般的な副作用は、以下のとおりであった。
 ●日中の眠気:83.2%
 ●睡眠の困難さ:74.7%
 ●口渇:63.9%
 ●セックスを楽しめない:53.4%
 ●体重増加:52.4%
・女性は男性よりも、日中の眠気、セックスを楽しめない、体重増加の報告が多かった。
・主要な副作用は、機能の身体的、社会的、職業的、心理的な側面に影響を及ぼしていた。
・主要な副作用を有する患者は、その経験に不満を感じることが多かった。
・Q-LES-Q-SF合計スコアは、8つに分類した副作用のスコアとの有意な逆相関が認められ、主要な副作用の重症度とQOL低下との関連が示唆された。

 著者らは「第2世代抗精神病薬で治療中の安定した統合失調症患者は、賦活的および鎮静的な副作用、性的副作用、体重増加などの問題を抱えている。これらの副作用は、日常的なすべての機能に影響し、QOLおよび満足度の低下と関連している」としている。

(鷹野 敦夫)