統合失調症治療に用いられる抗精神病薬12種における代謝系副作用の分析

提供元:ケアネット

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公開日:2017/12/11

 

 抗精神病薬は、血糖に関して重大な代謝系副作用を発現させることがある。しかし、これら抗精神病薬の血糖値に対する影響を比較した、総合的な評価は行われていない。中国・吉林大学のYangyu Zhang氏らは、ネットワークメタ解析を行い、12種類の抗精神病薬の血糖値変化に対する副作用についてランク分けを行った。BMC psychiatry誌2017年11月21日号の報告。

 2016年6月までにPubMed、EMBASE、Cochrane databasesよりシステマティックに検索し、統合失調症または関連障害の治療のために12種類の抗精神病薬またはプラセボのうち1剤を投与されている患者の血糖値変化を比較したランダム化比較試験(RCT)に関する研究を特定した。調査した研究は、英語の出版物に限った。独立した2人のレビューアーによりデータを抽出した。主要アウトカムは、空腹時血糖値の変化とした。

 主な結果は以下のとおり。

・114の関連群を含む47件の研究が抽出された。
・抗精神病薬のうち、オランザピンのみがプラセボと比較し、有意な血糖値増加と関連が認められた(平均差:3.95、95%CI:0.14~7.76)。
・オランザピンは、ziprasidone(平均差:5.51、95%CI:1.62~9.39)、lurasidone(平均差:5.58、95%CI:0.53~10.64)、リスペリドン(平均差:3.05、95%CI:0.87~5.22)よりも、有意に大きな血糖値変化との関連が認められた。
・ziprasidoneおよびlurasidoneは、他の抗精神病薬と比較し、血糖値変化が最小であった。

 著者らは「オランザピンは、ziprasidone、lurasidone、リスペリドンまたはプラセボと比較し、有意に大きな血糖値変化と関連していた。本研究は、臨床医が個々の患者ニーズを満たす抗精神病薬の選択を調整するために役立つと考えられる」としている。

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(鷹野 敦夫)