急性期統合失調症における抗精神病薬の投与量~メタ解析

急性期統合失調症における抗精神病薬の最適な投与量については、あまり知られていない。慶應義塾大学の竹内 啓善氏らは、急性期統合失調症における抗精神病薬の最小有効量(MED)について調査を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2020年5月16日号の報告。
これまでのシステマティックレビューより、各抗精神病薬のMEDを特定した。次に、急性期統合失調症における固定用量の抗精神病薬単剤療法を含む二重盲検プラセボ対照ランダム化試験を特定し、同一薬剤でMEDと高用量の比較を行った。研究の選定は、第2世代抗精神病薬とハロペリドールの用量反応性を調査した最近のメタ解析より行った。研究中止、精神病理、錐体外路症状、治療に伴う有害事象に関するデータを抽出した。各抗精神病薬のMED、MEDの2倍量、MEDの3倍量を比較するメタ解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・26研究、5,618例が解析に含まれた。
・MEDと高用量(2倍量、3倍量)との有効性の違いにより、研究中止について有意な差が認められた。
・精神病理については、高用量はMEDと比較し、陽性症状および総症状の改善効果が優れていた。
・副作用については、MEDと比較し2倍量でパーキンソン症状、下痢が多く、3倍量でアカシジア、傾眠、嘔吐が多かった。
著者らは「急性期統合失調症に対する抗精神病薬の使用において、臨床医は、MEDの2倍量または3倍量の投与が可能であるが、副作用については注意深くモニタリングする必要がある」としている。
(鷹野 敦夫)
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