脳梗塞発症後4.5~24時間、アルテプラーゼ静注vs.標準薬物治療/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2025/08/21

 

 虚血性脳卒中発症後4.5時間以降における静脈内血栓溶解療法の安全性と有効性については、いまだ十分な検討は行われていない。中国・Second Affiliated Hospital of Zhejiang University, School of MedicineのYing Zhou氏らHOPE investigatorsは無作為化試験において、灌流画像で救済可能組織が確認され、血栓除去術が当初予定されなかった急性虚血性脳卒中患者では、発症後4.5~24時間以内のアルテプラーゼ静脈内投与は、症候性頭蓋内出血は増加したが機能的アウトカムのベネフィットが得られたことを示した。JAMA誌オンライン版2025年8月7日号掲載の報告。

無作為化試験で、90日時点の機能的自立を評価

 研究グループは、中国の26ヵ所の脳卒中センターで無作為化非盲検エンドポイント盲検化試験を行った。2021年6月21日~2024年6月30日に、主幹動脈閉塞を問わず灌流画像で救済可能組織が確認された虚血性脳卒中を呈した患者372例を登録した。脳卒中発症(発症が不明の場合は、最終健常確認と症状確認の中間時点)が受診前4.5~24時間であり、血栓除去術が当初予定されなかった患者を適格とした。

 被験者は、最小化アルゴリズムを用いて1対1の割合で、アルテプラーゼ静注(0.9mg/kg、最大用量90mg)を受ける群(186例)または標準的な薬物治療を受ける(対照)群(186例)に割り付けられた。

 主要有効性アウトカムは機能的自立で、90日時点の修正Rankinスケールスコア0~1と定義した。安全性アウトカムは、36時間以内の症候性頭蓋内出血、90日以内の全死因死亡などとした。

 データ解析は2024年12月~2025年2月に行われた。

機能的自立40%vs.26%、症候性頭蓋内出血3.8%vs.0.5%

 登録された372例は、年齢中央値72歳(四分位範囲:64~80)、女性が160例(43%)であり、全例が試験を完了した。

 主要アウトカムの機能的自立は、アルテプラーゼ群75/186例(40%)、対照群49/186例(26%)で報告された(補正後リスク比:1.52[95%信頼区間[CI]:1.14~2.02]、p=0.004、補正前リスク群間差:13.98%[95%CI:4.50~23.45])。

 36時間以内の症候性頭蓋内出血は、アルテプラーゼ群(7/185例、3.8%)が対照群(1/182例、0.5%)と比べて高率であった(補正後リスク比:7.34[95%CI:1.54~34.84]、p=0.01、補正前リスク群間差:3.23%[0.28~6.19])。

 90日以内の全死因死亡は、アルテプラーゼ群(20例、10.8%)が対照群(20例、10.8%)と同等であった(補正後リスク比:0.91[95%CI:0.52~1.62]、p=0.76、補正前リスク群間差:0%[-6.30~6.30])。

(ケアネット)