統合失調症外来患者における抗精神病薬の高用量処方に関連する要因

提供元:ケアネット

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公開日:2020/06/26

 

 抗精神病薬は、複数の向精神薬と併用し、高用量で処方されることが一般的である。京都大学の高橋 達一郎氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬の高用量処方に焦点を当て、患者の特徴および向精神薬併用との関連を特定するため調査を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年5月26日号の報告。

 2014年10月~2015年3月の全国都道府県からの請求データを用いて、統合失調症成人外来患者の抗精神病薬処方を調査した。客観的変数は、高用量処方の有無とした。説明変数には、性別、年齢(カテゴリー)、併存疾患の有無、精神科医による治療を含めた。

 主な結果は以下のとおり。

・除外後の対象患者は、1万3,471例であった。
・高用量処方の頻度は男性で高く、クロルプロマジン換算量が最も多かった年齢範囲は、男性で45~54歳、女性で35~44歳であった。
・65歳未満の脳血管疾患患者では、高用量処方が少なかった。
・65歳未満の患者では、向精神薬の併用頻度が高かった。

 著者らは「統合失調症患者では、高用量の抗精神病薬が向精神薬と併用されることが少なくない。症状が改善した患者のケアのために、抗精神病薬の高用量処方を避けるべく、医師の処方行動を評価する必要性がある」としている。

(鷹野 敦夫)