COVID-19感染のがん患者、重症化しやすく複数のリスク因子/Lancet Oncol

提供元:ケアネット

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公開日:2020/06/09

 

 がん患者がCOVID-19に感染した場合に非がん患者よりも重症化する可能性が高く、複数のリスク因子があることが、中国・華中科技大学(武漢)のJianbo Tian氏らによる多施設共同の後ろ向きコホート研究で示された。Lancet Oncology誌オンライン版2020年5月29日号掲載の報告。

 2020年1月13日~3月18日に武漢の9病院に入院した、がん患者232例と非がん患者519例を比較した。いずれも18歳以上、PCR検査でCOVID-19陽性と判定されていた。がん患者のがん種は固形がんおよび血液がんだった。年齢、性別、併存症、がん種、病歴、がん治療期間を調整した単変量および多変量ロジスティック回帰分析を行い、COVID-19重症度に関連するリスク因子を調査した。COVID-19の重症度はWHOガイドラインに基づいて入院時に定義された。

 主な結果は以下のとおり。

・追跡期間中央値は、がん患者で29日(IQR:22~38)、非がん患者で27日(20~35)だった。
・重症の症例は、がん患者では232例中148例(64%)、非がん患者では519例中166例 (32%)、オッズ比[OR]3.61 (95%信頼区間[CI]:2.59~5.04、p<0.0001)と、がん患者のほうが重症化リスクが高かった。
・がん患者の COVID-19重症化因子として、非がん患者において報告されている高齢・インターロイキン-6増加、プロカルシトニン値増加、Dダイマー上昇、リンパ球減少が確認された。
・がんのStage進行(OR:2.60、95% CI:1.0~6.43、p=0.039)、腫瘍壊死因子α(Tumour Necrosis Factor:TNF)の上昇(OR:1.22、95% CI:1.01~1.47、p=0.037)、脳性ナトリウム利尿ペプチド値(NT-proBNP)の上昇(OR:1.65、95% CI:1.03~2.78、p=0.032)、CD4+ T細胞の減少(OR:0.84、95% CI:0.71~0.98、p=0.031)、アルブミン対グロブリン比の減少(OR:0.12、95% CI:0.02~0.77、p=0.024)もがん患者におけるCOVID-19重症化因子であった。

(ケアネット 杉崎 真名)