切除不能肝細胞がんへのアテゾリズマブ+ベバシズマブ、全死亡リスクが42%低下(IMbrave150)/ESMO Asia 2019

全身薬物療法を受けていない切除不能の肝細胞がん(HCC)患者に対して、アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)とベバシズマブ(同:アバスチン)の併用をソラフェニブ単剤と比較した第III相IMbrave150試験において、主要評価項目である全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)のいずれにおいても統計学的に有意な改善が示された。11月23日、欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia)2019にて発表された。
IMbrave150試験は、全身薬物療法を受けていない切除不能なHCC患者を対象とした多施設共同オープンラベル無作為化第III相試験。501例をアテゾリズマブ(1日目に1,200mg静脈内投与、3週ごと)とベバシズマブ(1日目に15mg/kg静脈内投与、3週ごと)の併用群、ソラフェニブ(1〜21日目に400mg/回を1日2回経口投与、3週ごと)単剤群に2:1で割り付け、両群とも主治医判定で病勢進行もしくは忍容できない毒性出現のいずれかまで継続した。主要評価項目は OSとRECIST v1.1 に基づく中央判定によるPFSで、副次評価項目は、RECIST v1.1および HCCmRECISTに基づく主治医判定による奏効率、無増悪期間、奏効期間、患者報告アウトカム、安全性、薬物動態であった。
アテゾリズマブとベバシズマブの併用群(336例)はソラフェニブ単剤群(165例)と比較し、OS(ハザード比[HR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.42~0.79、p=0.0006)およびPFS(HR:0.59、95%CI:0.47~0.76、p<0.0001)を有意に改善した。Grade3/4 の有害事象はアテゾリズマブとベバシズマブの併用群で57%、ソラフェニブ単剤群で55%に、Grade5の有害事象はそれぞれ5%、6%に報告された。併用群における安全性は、それぞれの薬剤で認められている安全性プロファイルと同様であった。
(ケアネット 金沢 浩子)
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