食べないのが一番、危ない「酸化コレステロール」とは?/日本動脈硬化学会

提供元:
ケアネット

食べないのが一番、危ない「酸化コレステロール」とは?/日本動脈硬化学会のイメージ

 メタボリックシンドロームにしばしば合併する脂肪肝だが、実は動脈硬化リスクも伴う。自覚症状に乏しいことから、一般メディアでは“隠れ脂肪肝”などと呼ばれ、患者から質問されることも珍しくない。しかし、脂肪肝だからと言って、ただ“脂モノ”を控えるという対処は正しくないという。

 先日、日本動脈硬化学会(理事長:山下 静也)が開催したセミナーにて、動脈硬化と関連の深い「脂肪肝/脂肪肝炎」と「酸化コレステロール」について、2人の専門医が解説した。

脂肪肝/脂肪肝炎は、肝硬変・肝がんだけでなく心血管疾患リスクにも
 はじめに、小関 正博氏(大阪大学大学院 医学系研究科循環器内科)が、脂肪肝の病態とリスクについて講演を行った。アルコールの影響を受けていない脂肪肝は、脂肪が肝臓に蓄積した「非アルコール性脂肪肝(NAFL)」と、さらに炎症や線維化を伴った「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」に分類される。しかし、区別が難しいため、NAFLとNASHの総称として「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」とも呼ばれる。

 NASHは、炎症を繰り返すうちに線維化が進み(肝硬変)、肝がんに至るケースもあるとわかってきた。20年ほど前は、「脂肪肝は、がんにならない」と言われていたが、ウイルス性肝炎由来の肝細胞がんが治療法の進歩により減り、相対的に、脂肪肝炎由来のがん症例の増加が浮き彫りになっているという。

 小関氏は、「NASHがウイルス性肝炎と決定的に違うのは、虚血性心疾患のリスクを伴う点。米国において、NAFLD患者は肝がんより心血管疾患で死亡する例のほうが多いという報告1)もある。脂肪肝と脂肪肝炎は、今後さまざまな診療科が連携して診療していくべき疾患だ」と強調した。

線維化の段階を評価し、NASHが疑われる場合は専門医へ
 NAFLDは、肥満や糖尿病をはじめとする生活習慣病と高率に合併し、国内の有病率は、男性では40~59歳の40%以上、女性では60~69歳の30%以上との報告がある。また、NAFLD患者の生存率は、肝線維化と強く関連することがわかっている。

 脂肪肝は、腹部エコーで腎皮質よりも白く映る(肝腎コントラスト陽性)所見により、健診などで発覚し、その後は『NAFLD/NASH診療ガイドライン20142)』のチャートに従って診断される。線維化の段階を評価するためには、FIB-4 index(肝線維化の進行度を非侵襲的に推測するためのスコアリングシステム/日本肝臓学会)や、MR Elastographyを用いた画像化による方法があり、NASHが疑われる場合は、専門医の受診が勧められる。動脈硬化性疾患のリスクに潜む“隠れ脂肪肝”を、今後見過ごすわけにはいかない。

動脈硬化を促進する「超悪玉コレステロール」
 次に、的場 哲哉氏(九州大学病院 循環器内科)が、酸化コレステロールと動脈硬化の関連性について説明した。動脈硬化は、高血圧、脂質異常症、糖尿病などによってダメージを受けた血管壁に、LDLが入り込むことで進行する。

 通常、LDLはコレステロールを肝臓から末梢に運んでいるが、生活習慣病の人には、血管壁に入り込みやすい、小型で密度の高いLDL(small dense LDL)が存在するという。これは、“超悪玉コレステロール”とも呼ばれ、近年注目を集めている。このsmall dense LDLが、動脈硬化を強力に誘発すると考えられ、血清脂質値が正常にもかかわらず、動脈硬化を引き起こした例も報告されている。

 血管壁に入り込んだLDLは、「酸化」されることで白血球のターゲットとなり、プラークの形成をもたらす。LDLの酸化反応は、身近な食品中にも含まれる「酸化コレステロール」によって促進され、とくに、small dense LDLは酸化しやすい。

 つまり、動脈硬化を防ぐためには、酸化コレステロールが多く含まれる食品を避けたほうがよい。例えとして、焼き鳥の皮の部分、インスタントラーメンの麺、マーガリンやマヨネーズの変色した部分、二度揚げされた揚げ物、漬け込み保存された魚卵、加工肉食品、するめやビーフジャーキーなどUV照射を受けた食品などが挙げられた。

酸化コレステロールは食べないのが一番
 続いて的場氏は、酸化コレステロールと心血管疾患との関連を裏付ける研究結果を紹介した。経皮的冠動脈インターベンション後の治療薬による効果をスタチン単独とスタチン+エゼチミブでランダム比較した「CuVIC Trial3)」では、冠動脈疾患患者において、血中酸化コレステロール高値が、LDL-コレステロール高値とともに冠動脈内皮機能障害と関連することが明らかになった。この内皮機能障害は、エゼチミブのコレステロール吸収阻害作用によって軽減されることが示された。

 酸化コレステロールについてはさまざまな研究が行われているが、まだ解明できていない点も多く、現行のガイドラインには記載されていない。バイオマーカーや治療標的として利用するためには、引き続き研究を重ねる必要がある。

 同氏は、「酸化コレステロールを特異的に下げる薬はまだない。まずは酸化コレステロールの摂取を避け、食事療法と運動療法を組み合せた生活習慣の改善が重要」と締めくくった。

(ケアネット 稲川 進・堀間 莉穂)

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

会員の方へ