PTSDに対するVR療法の有効性~メタ解析

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2019/10/29

 

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対する仮想現実を用いた治療(virtual reality exposure therapy:VRET)は、注目すべき新たな治療法であるが、その有効性および安全性は明らかになっていない。中国・安徽医科大学のWenrui Deng氏らは、PTSD患者に対するVRETの有効性を調査し、関連する潜在的な調整因子を特定するため、システマティック・レビュー、メタ解析を行った。Journal of Affective Disorders誌2019年10月1日号の報告。

 各種データベース(PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Library、PsycInfo、Science Direct、EBSCO)より検索を行った。ランダム化比較試験(RCT)13件(654例)、単群試験5件(60例)を含む18件のPTSDに関する研究を特定した。

 主な結果は以下のとおり。

・主要有効性分析では、VRETは、PTSD症状コントロール状態患者と比較し、中程度のエフェクトサイズが検出された(g=0.327、95%CI:0.105~0.550、p<0.01)。
・サブグループ分析では、アクティブコントロール群(g=0.017)よりもインアクティブ群(g=0.567)において、VRETの効果が大きかった。
・本知見は、抑うつ症状においても一致していた。
・用量反応関係が認められ、より多いVRETセッションで、より大きな効果が認められた。
・PTSD症状に対するVRETの長期的な効果が認められており、フォローアップ3ヵ月(g=0.697)および6ヵ月(g=0.848)において症状の持続的な減少が認められた。
・単群試験の分析では、VRETがPTSDに有意な影響を及ぼすことが示唆された。
・戦争関連のPTSD患者の多くでは、メタ解析の推定値およびその後の結論において不確実性が認められた。

 著者らは「VRETは、PTSD症状の有意な軽減が期待できる治療法であり、PTSD治療における実践は支持される」としている。

(鷹野 敦夫)