日本人てんかん患者に対するレベチラセタムの有効性と安全性

提供元:ケアネット

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公開日:2019/08/29

 

 レベチラセタムは、焦点性てんかんおよびてんかん重積状態の急性期治療に使用される忍容性の高い抗てんかん薬であり、随伴症状を伴う患者において第1選択薬として使用される。しかし、日本人てんかん患者におけるレベチラセタムの有効性および安全性に、血中レベチラセタム濃度がどのような影響を及ぼすかはよくわかっていない。神戸医療センターの関本 裕美氏らは、日本人てんかん患者におけるレベチラセタムの有効性と安全性に対する血中濃度の影響について分析を行った。Journal of Clinical Pharmacy and Therapeutics誌オンライン版2019年8月10日号の報告。

 本研究は、レベチラセタムで治療されたてんかん患者255例を対象に、レベチラセタム単独群と他の抗てんかん薬併用群における有効性および安全性を比較したレトロスペクティブコホート研究である。レベチラセタムと併用した抗てんかん薬の血中濃度、臨床検査値、副作用などの臨床パラメータを電子カルテより抽出し、分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・レベチラセタムと他の抗てんかん薬併用は、シトクロムP450活性に影響を及ぼす薬剤であったとしても、血中レベチラセタム濃度に影響を及ぼさなかった。
・レベチラセタムは、併用された抗てんかん薬の血中濃度に有意な影響を及ぼすことはなかった。
・血中レベチラセタム濃度は、高齢および腎機能障害患者において有意な増加が認められたが、副作用の発現率は上昇しなかった。

 著者らは「日本人てんかん患者に対し、レベチラセタムは、他の抗てんかん薬と併用して使用する場合でも、血中濃度モニタリングを用いた用量調整を行うことなく、効果的かつ安全に使用できる」としている。

(鷹野 敦夫)