統合失調症におけるムスカリン性アセチルコリン受容体の役割

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ケアネット

統合失調症におけるムスカリン性アセチルコリン受容体の役割のイメージ

 統合失調症の病態生理において、ムスカリン受容体機能障害が重要な役割を担っていることが示唆されている。最近、神経伝達物質受容体に対する免疫反応性が、統合失調症のいくつかのケースにおいて、病原性の役割を担う可能性についても明らかとなっている。オーストラリア・クイーンズランド大学のAlexander E. Ryan氏らは、統合失調症におけるムスカリン受容体機能障害のケースをレビューし、この機能障害からムスカリン受容体標的抗体の開発が支持されるかについて検討を行った。The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2019年7月26日号の報告。

 統合失調症におけるムスカリン受容体の研究および抗ムスカリン性アセチルコリン受容体抗体の存在と潜在的な役割についてレビューを行った。

 主な結果は以下のとおり。

・ムスカリンシグナル伝達の変化または欠乏が、統合失調症のいくつかの重要な臨床的特徴の根底にあるとのエビデンスが蓄積されている。
・統合失調症における抗ムスカリン性アセチルコリン受容体抗体について調査した研究は比較的少ないが、このような抗体が一定の割合の患者に存在することが一貫して認められた。
・統合失調症において、これらの抗体が病原性作用を有する、または未知の病態生理学的過程に対するバイオマーカーとして存在することが示唆された。

 著者らは「高レベルの抗ムスカリン性アセチルコリン受容体抗体の存在は、統合失調症患者のサブグループを特定し、病因や臨床症状、治療に役立つ可能性がある。これまでの研究では、とくに抗精神病薬治療を長期にわたり受けている慢性期統合失調症患者を対象としている。抗精神病薬は免疫機能を調整し、受容体濃度を調整するため、今後の研究では、初回エピソード統合失調症患者における抗ムスカリン抗体の存在をスクリーニングすることが推奨される」としている。

(鷹野 敦夫)

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