4価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種により浸潤性子宮頸がんリスクは有意に低下し、その予防効果は長期追跡期間を通じて持続しており減衰の兆候は認められなかった。スウェーデン・カロリンスカ研究所のShiqiang Wu氏らが、同国の全国的な登録データを用いて最長18年間追跡したコホート研究の結果を報告した。本研究では、出生コホート別の評価において、最も若い学校ベースコホート(1999~2001年生まれ)が最も年長の機会的コホート(1985~88年生まれ)と比べて発生率が低かったことも示された。2006年に4価HPVワクチンが導入されているが、HPVワクチン接種後の浸潤性子宮頸がんの長期リスクに関するデータは依然として限られており、HPVワクチン効果の持続性を評価するための長期追跡研究が求められていた。BMJ誌2026年2月25日号掲載の報告。
スウェーデンの全国的な登録データを用いたコホート研究、最長18年間追跡
研究グループは、スウェーデンの全国的な登録データを用い、HPVワクチンと浸潤性子宮頸がんリスクとの関連を評価するコホート研究を行った。
対象は、1985~2001年生まれで2006~23年にスウェーデンに居住し、追跡調査開始時にHPVワクチン接種歴がなくかつ浸潤性子宮頸がんの既往がない女性であった。
2006年1月1日または10歳の誕生日のいずれか遅い時点から、2023年12月31日までまたは浸潤性子宮頸がんの診断、死亡、国外移住、追跡不能、2価/9価HPVワクチン接種のいずれか早い時点まで追跡した(最長38歳時まで追跡。17歳未満でワクチン接種を受けた女性は最長34歳時まで追跡)。
主要アウトカムは、HPVワクチン接種者と非接種者の浸潤性子宮頸がんの罹患率比(IRR)。追跡期間中の浸潤性子宮頸がんの初回診断で評価し、IRRは、年齢、暦年、社会人口学的要因、および病歴を補正したポアソン回帰モデルを用いて推定した。また、ワクチン接種後の期間別コホート、接種後3年ごとで区分したコホート(1~3、4~6年群など)、接種時の年齢別コホート、出生コホート(1985~88年生まれ[機会的コホート]、1989~92年生まれ[補助金対象コホート]、1993~98年生まれ[キャッチアップコホート]、1999~2001年生まれ[学校ベースコホート])分類による解析も行った。
17歳未満でのワクチン接種、未接種と比較しIRRは一貫して低値
解析対象は92万6,362例、追跡期間中央値は18年(四分位範囲:15.8~18.0)で、追跡期間中に4価HPVワクチンを少なくとも1回接種した女性(ワクチン接種群)は36万5,502例(39.5%)、このうち74.2%は17歳未満で接種を開始し、76.5%が全3回の接種を完了した。
浸潤性子宮頸がんは930例確認され、うち97例はワクチン接種群、833例は未接種群で、ワクチン接種群の未接種群に対する補正後IRRは0.44(95%信頼区間[CI]:0.35~0.55)であった。
接種年齢別評価では、17歳未満集団では補正後IRRは0.21(95%CI:0.13~0.32)で、ワクチン接種後13~15年間予防効果の持続が認められた(IRR:0.23、95%CI:0.11~0.46)。
一方、17歳以降の集団では、補正後IRRは全体で0.63(95%CI:0.49~0.81)、ワクチン接種後7~9年で0.77(0.52~1.15)、10~12年で0.54(0.33~0.86)、13~15年で0.23(0.08~0.60)と、ワクチン接種後10年以降で罹患の減少が有意であった。
出生コホート別では、機会的コホートと比較し、学校ベースコホートで、共変量補正後の子宮頸がんリスクが72%(95%CI:11~91)低下した(IRR:0.28、95%CI:0.09~0.89)。
(医学ライター 吉尾 幸恵)