統合失調症に対する抗炎症薬補助療法~メタ解析 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2019/04/16 統合失調症に対する抗炎症薬補助療法が、症状改善に寄与することが最近のエビデンスで示唆されている。しかし、認知機能、全般的機能、副作用に対する抗炎症薬補助療法の効果については、システマティックに研究されていない。韓国・カトリック大学のMyeongju Cho氏らは、統合失調症に対する抗炎症薬補助の効果を包括的に調査するため、メタ解析を実施した。The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2019年3月13日号の報告。 PubMed、EMBASE、Cochrane Database of Systematic Reviewsを含むオンラインデータベースより、精神病理、神経認知、全般的機能、錐体外路系副作用を含む臨床アウトカムを調査したランダム化プラセボ対照二重盲検試験を検索した。調査対象抗炎症薬は、アスピリン、セレコキシブ、ω3脂肪酸、エストロゲン、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、プレグネノロン、N-アセチルシステイン、ミノサイクリン、davunetide、エリスロポエチンであった。 主な結果は以下のとおり。 ・定量分析のための選択基準を満たした研究は、62件(2,914例)であった。 ・抗炎症薬補助により、PANSSの総スコア、陽性症状スコア、陰性症状スコアの有意な減少が認められた。 ・ミノサイクリンおよびプレグネノロン補助療法では、認知機能の有意な改善が認められた。 ・全体的に抗炎症薬補助療法により、全般的な機能は有意に改善していた。 ・抗炎症薬補助療法は、プラセボと比較し、副作用に有意な差は認められなかった。 ・ベースライン時のPANSS総スコアおよび罹病期間は、精神症状改善に対する抗炎症薬補助療法の効果を緩和する因子として同定された。 著者らは「抗精神病薬単独療法よりも、抗炎症薬補助療法を用いた有効性および安全性が支持された。しかし、抗炎症薬補助療法のより詳細な効果を理解するためには同種の臨床プロファイルを有する患者に焦点を当てた研究が必要である」としている。 ■関連記事 統合失調症治療に抗炎症薬は有用か 初回エピソード統合失調症患者におけるアリピプラゾールとリスペリドンの抗炎症効果の比較 精神疾患患者の認知機能と炎症マーカーとの関連が明らかに (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Cho M, et al. Aust N Z J Psychiatry. 2019 Mar 13. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 初発統合失調症に対する治療アルゴリズムを作成~日本臨床精神神経薬理学会 医療一般 日本発エビデンス(2021/08/19) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 冠動脈疾患2次予防、クロピドグレルvs.アスピリン/Lancet(2025/09/12) 心筋梗塞後のβ遮断薬、LVEF>40%なら不要?/NEJM(2025/09/12) 長らく日の目を見なかったアミリンが抗肥満薬として復活した(解説:住谷哲氏)(2025/09/12) 既治療の進展型小細胞肺がん、I-DXdの奏効率48.2%(IDeate-Lung01)/WCLC2025(2025/09/12) きつい運動の前の減量は受傷発生を減少させる(2025/09/12) 治療抵抗性うつ病に対するアリピプラゾール併用vs.rTMS併用vs.SNRI切り替え(2025/09/12) フルーツジュースの適度な摂取が糖尿病リスクを減らす/東京科学大(2025/09/12) 豚の肺を脳死者に移植、世界初の試み(2025/09/12) [ あわせて読みたい ] 第50回日本骨髄腫学会学術集会:独占インタビュー(2025/04/18) ASCO2025 まとめ(2025/06/02) かかりつけ医のためのがん患者フォローアップ(2025/06/13) 医療・介護施設従事者のための転倒・転落事故へのアプローチ ~転倒・転落事故のメカニズム、予防、事故後フォローのすべて~(2025/02/27) 非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減【論文から学ぶ看護の新常識】第1回(2025/02/05) トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) 災害対策まとめページ(2024/02/05) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29)