初回エピソード統合失調症患者におけるアリピプラゾールとリスペリドンの抗炎症効果の比較

提供元:ケアネット

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公開日:2018/08/02

 

 抗精神病薬の抗炎症作用に関するエビデンスが増加している。しかし、リスペリドンとアリピプラゾールの免疫調整効果を比較した研究は、これまでに報告されていない。スペイン・カンタブリア大学のMaria Juncal-Ruiz氏らは、治療3ヵ月後の血清サイトカインの大規模アレイについて、リスペリドンとアリピプラゾールの抗炎症効果の比較を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2018年6月22日号の報告。

 本研究は、プロスペクティブランダム化オープンラベル研究として実施された。初回エピソード統合失調症患者75例を、リスペリドン群またはアリピプラゾール群にランダムに割り付け、対照群として健康ボランティア75例を選択した。21のサイトカイン/ケモカインの血清濃度を、ベースライン時および投与開始3ヵ月後に測定した。

 主な結果は以下のとおり。

・ベースライン時において、対照群と比較し、リスペリドン群ではIL-8レベル(p=0.000)およびMIP-1βレベル(p=0.007)が高かったが、アリピプラゾール群では差は認められなかった。
・投与開始3ヵ月後において、IL-8、MIP-1β、フラクタルカイン、TNF-α、IL-7、IL-13、IL-17α、IL-23、IL-21に有意な低下が認められた(各々:p<0.01)。
・リスペリドン群とアリピプラゾール群の変化率に差は認められなかった。
・2剤のエフェクトサイズは類似していたが、アリピプラゾールはリスペリドンよりも、エフェクトサイズが大きいと考えられる(TNF-α、IL-13、IL-17α、フラクタルカインを除く)。また、リスペリドンは、アリピプラゾールよりもMIP-1βのエフェクトサイズが大きいと考えられる。

 著者らは「本研究は、リスペリドンとアリピプラゾールの免疫調整効果を比較した最初の研究であり、両剤の抗炎症効果は類似していることが明らかとなった」としている。

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(鷹野 敦夫)