統合失調症治療に抗炎症薬は有用か 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/10/24 統合失調症の病態に脳の炎症は関連しているのか。オランダ・ユトレヒト大学のIris E. Sommer氏らは、抗炎症薬による統合失調症の症状軽減効果を評価するため、臨床試験26件について解析を行った。その結果、アスピリン、N-アセチルシステイン、エストロゲン製剤において、症状の重症度に対し有意な改善効果が認められることを報告した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2013年10月8日号の掲載報告。 統合失調症の炎症説は新しいものではないが、最近、統合失調症の病因における免疫系の役割を示唆するデータが多く発表されており、再び注目を集めている。脳における炎症の増強が統合失調症の症状に関与しているとするならば、炎症の抑制は臨床経過を改善しうると考えられる。実際、最近、数件の試験において、抗炎症薬が統合失調症の症状を改善しうるか否かが検討されていた。本研究では、これまでに実施された臨床試験を基に、統合失調症の症状に及ぼす抗炎症薬の有効性に関する最新情報を調査した。PubMed、Embase、the National Institutes of Health のウェブサイト(http://www.clinicaltrials.gov)、Cochrane Schizophrenia Group entries in PsiTriおよびCochrane Database of Systematic Reviewsを用いてデータベース検索を行った。検索対象は、臨床アウトカムを検討した無作為化二重盲検プラセボ対照試験に限定した。 主な結果は以下のとおり。 ・適格試験は26件が抽出された。 ・アスピリン、セレコキシブ、ダブネチド(国内未承認)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)などの脂肪酸、エストロゲン製剤、ミノサイクリンおよびN-アセチルシステイン(NAC)について、症状の重症度に及ぼす影響を調査した。 ・そのうち、アスピリン(重み付け平均効果サイズ[ES]:0.3、270例、95%CI:0.06~0.537、I2=0)、エストロゲン製剤(ES:0.51、262例、95%CI:0.043~0.972、I2=69%)およびNAC (ES:0.45、140例、95%CI:0.112~0.779)において、有意な効果が認められた。 ・セレコキシブ、ミノサイクリン、ダブネチドおよび脂肪酸では、有意な効果が認められなかった。 ・以上より、抗精神病薬へのアスピリン、NAC、エストロゲン製剤の追加は有望だと思われた。 ・これら3製剤は、いずれも非常に幅広い活性を有している。症状の重症度に対する有益な効果が、真にその抗炎症作用を介したものであるか否かを検討する必要がある。 関連医療ニュース 抗精神病薬へのNSAIDs追加投与、ベネフィットはあるのか? 新たな選択肢か?!「抗精神病薬+COX-2阻害薬」自閉症の治療 アルツハイマー病、アミロイドβ蛋白による“炎症反応”が関与 (ケアネット) 原著論文はこちら Sommer IE et al. Schizophr Bull. 2013 Oct 8. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 喘息・COPD吸入器が温室効果ガス排出量を増大/JAMA(2025/10/22) レボドパは脳卒中の回復を促進するか?(解説:内山真一郎氏)(2025/10/22) DLBCL 1次治療の動向と課題、今後の展望/日本血液学会(2025/10/22) HR 0.40、シスプラチン不適格MIBCへの周術期EV+ペムブロリズマブ追加でEFS改善(KEYNOTE-905)/ESMO2025(2025/10/22) HER2+早期乳がんの術前療法、T-DXd→THPが標準治療を上回るpCR率(DESTINY-Breast11)/ESMO2025(2025/10/22) 胃がん周術期、FLOT+デュルバルマブはPD-L1発現にかかわらず最終OSを改善(MATTERHORN)/ESMO2025(2025/10/22) 小細胞肺がん1次治療、タルラタマブ上乗せで1年OS率80.6%(DeLLphi-303)/ESMO2025(2025/10/22) 2型糖尿病の全死亡、亜鉛欠乏で増加(2025/10/22) 認知機能低下リスクを考慮した高齢者の適切な睡眠時間は(2025/10/22)