アジア人でより有効、進行肺がんへのプラチナ+ペメトレキセド+アテゾリズマブ(IMpower132)/ESMO 2018

提供元:ケアネット

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公開日:2018/11/01

 

 Stage IV非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるペメトレキセドとプラチナ製剤の併用療法、およびペメトレキセドによる維持療法へのPD-L1阻害薬アテゾリズマブの上乗せ効果を検討した第III相IMpower132試験では、アテゾリズマブ併用群で無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことがすでに発表されている(5.2ヵ月 vs.7.6ヵ月、ハザード比[HR]:0.60、95%信頼区間[CI]:0.49~0.72、p<0.0001)。ドイツ・ミュンヘンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)では、本試験のサブグループ解析結果が、フランス・エクス=マルセイユ大学のFabrice Barlesi氏により発表された。

IMpower132試験を年齢・人種・喫煙歴・肝転移の有無でサブグループ解析

 IMpower132試験は、化学療法未治療の進行非扁平上皮NSCLC患者(EGFR/ALK陰性)を対象とし、カルボプラチンまたはシスプラチンとペメトレキセド併用→ペメトレキセド維持療法群(PP群)と、カルボプラチンまたはシスプラチンとペメトレキセド併用+アテゾリズマブ→ペメトレキセド+アテゾリズマブ維持療法群(APP群)を比較したオープンラベル多施設共同無作為化第III相試験。

 今回のIMpower132試験のサブグループ解析では、年齢(<65歳/≧65歳)、人種(アジア人/非アジア人)、喫煙歴(非喫煙者/現在あるいは過去の喫煙者)、およびベースライン時点での肝転移の有無の4項目についてPFSおよび中間解析時点での全生存期間(OS)が評価された。

 IMpower132試験のサブグループ解析の主な結果は以下のとおり。

・データカットオフ(2018年5月22日)時点で、追跡期間中央値は14.8ヵ月であった。
年齢別(PFS中央値)
<65歳(PP群167例 vs.APP群153例):4.4ヵ月 vs.6.9ヵ月(HR:0.63、95%CI:0.49~0.80)
≧65歳(PP群119例 vs.APP群139例):5.6ヵ月 vs.8.4ヵ月(HR:0.55、95%CI:0.42~0.73)。
年齢別(OS中央値)
<65歳:14.2ヵ月 vs.18.8ヵ月(HR:0.89、95%CI:0.62~1.21)。
≧65歳:12.8ヵ月 vs.18.1ヵ月(HR:0.71、95%CI:0.50~1.01)。
人種別(PFS中央値)
アジア人(PP群65例 vs.APP群71例):5.3ヵ月 vs.10.2ヵ月(HR:0.42、95%CI:0.028~0.63)。
非アジア人(PP群221例 vs. APP群221例):5.0ヵ月 vs.6.9ヵ月(HR:0.65、95%CI:0.53~0.81)。
人種別(OS中央値)
アジア人:NE vs.NE(HR:0.68、95%CI:0.37~1.24)。
非アジア人:11.0ヵ月 vs.13.0ヵ月(HR:0.82、95%CI:0.64~1.06)。
喫煙歴別(PFS中央値)
非喫煙者(PP群30例 vs.APP群37例):5.5ヵ月 vs.8.6ヵ月(HR:0.49、95%CI:0.28~0.87)。
現在・あるいは過去の喫煙者(PP群256例 vs.APP群255例):5.1ヵ月 vs.7.5ヵ月(HR:0.61、95%CI:0.50~0.74)。
喫煙歴別(OS中央値)
非喫煙者:13.3ヵ月 vs.18.1ヵ月(HR:0.65、95%CI:0.32~1.30)。
現在・あるいは過去の喫煙者:13.6ヵ月 vs.18.8ヵ月(HR:0.83、95%CI:0.65~1.06)。
肝転移有無(PFS中央値)
肝転移有(PP群36例 vs.APP群37例):4.0ヵ月 vs.4.4ヵ月(HR:0.77、95%CI:0.47~1.25)。
肝転移無(PP群250例 vs.APP群255例):5.5ヵ月 vs.8.4ヵ月(HR:0.56、95%CI:0.46~0.69)。
肝転移有無(OS中央値)
肝転移有:6.9ヵ月 vs.10.1ヵ月(HR:0.99、95%CI:0.57~1.70)。
肝転移無:14.2ヵ月 vs.19.9ヵ月(HR:0.76、95%CI:0.59~0.98)。

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(ケアネット 遊佐 なつみ)

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