ペメトレキセド+シスプラチンのNSCLC術後アジュバントにおける可能性(JIPANG)/ASCO2019

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ペメトレキセド+シスプラチンのNSCLC術後アジュバントにおける可能性(JIPANG)/ASCO2019のイメージ

 非小細胞肺がん(NCSLC)の術後アジュバントのプラチナベース化学療法においては、どの組み合わせが最も効果的かは明らかではない。静岡県立静岡がんセンターの釼持 広知氏らは、完全切除非扁平上皮NSCLCの術後補助療法において、ペメトレキセド+シスプラチン(PEM+CDDP)とビノレルビン+シスプラチン(VNR+CDDP)を比較する無作為化第III相JIPANG Studyを実施。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)のOral Sessionにおいて、その結果を発表した。

・対象:StageII~IIIAの完全切除非扁平上皮NSCLC患者
・試験薬:ペメトレキセド+CDDP 3週ごと4サイクルまで(PEM+CDDP群)
・対照群:ビノレルビン+CDDP 3週ごと4サイクルまで(VNR+CDDP群)
・評価項目:[主要評価項目]無再発生存期間(RFS)、目標HRは0.775、[副次評価項目]全生存期間(OS)、治療完遂率、毒性

結果
・2012年3月~2016年8月に812例が登録され、804例がVNR+CDDP群(402例)とPEM+CDDP群(402例)に無作為に割り付けられた。
・RFS中央値はVNR+CDDPが37.3ヵ月、PEM+CDDP群が38.9ヵ月。36ヵ月RFSはVNR群50.2%に対しPEM+CDDP群51.1%で、生存曲線はほぼ同様であった(HR:0.98、95%CI:0.81~1.20、片側p=0.474)。HRは目標に届かず、PEM+CDDP群は主要評価項目を達成しなかった。
EGFR遺伝子変異有無別のRFSをみると、EGFR野生型ではVNR+CDDP群39.9ヵ月に対しPEM+CDDP群65.2ヵ月と、統計学的に有意ではないがPEM+CDDP群で良好な傾向であった(HR:087)、一方、EGFR変異型ではVNR+CDDP群30.4ヵ月に対しPEM+CDDP群24.1ヵ月と、統計学的に有意ではないがVNR+CDDP群が良好な傾向であった(HR:1.38)。
・OSは未達であるが、24ヵ月OSはVNR+CDDP群91.8%、PEM+CDDP群92.5%、36ヵ月OSはVNR+CDDP群83.5%、PEM+CDDP群87.2%であった。
・治療完遂率(4サイクル)はVNR+CDDP群72.7%、PEM+CDDP群87.9%と、PEM+CDDP群で有意に良好であった(p<0.001)。
・Grade3以上の血液学的毒性発現はVNR+CDDP群89.4%に対し、PEM+CDDP群47.4%と、PEM+CDDP群で少なかった。

 結語として、PEM+CDDP群の優越性は証明されなかったが、その効果はVNR+CDDPと同程度であり、安全性プロファイルも良好なことから、今後PEM+CDDPが非扁平上皮NSCLCの術後補助療法の選択肢になり得ることを示唆するとしている。

発表者静岡県立静岡がんセンター釼持氏との1問1答
この試験を行った背景は?
 PEM+CDDPは進行肺がんでは実績のあるレジメンですが、PEMは日本においては術後補助療法としての適応はありません。一方、CDDP+VNRは術後補助療法のスタンダードですが、副作用への配慮が必要です。経験も多く、医師として使いやすいPEM+CDDPを術後補助療法の選択肢に加えられないかと考えました。

非扁平上皮NSCLCのアジュバントでPEM+CDDPを使うメリットは?
 血液毒性が軽いということだと思います。結果はネガティブでしたが、今後は適応拡大の可能性について検討していこうと考えています。

EGFR変異の有無で両レジメンの効果の違いが出ていますが、どのようにお考えですか?
 まだ違いがあるとも言えない状態です。なぜ違いが出たのかバックグラウンドが明らかではありません。現在バイオマーカー研究が進行中であり、その結果が待たれます。
※ペメトレキセドは当該術後補助療法として効能・効果の適応がなく、保険診療として適用されないのでご注意ください。

(ケアネット 細田 雅之)

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