禁煙のための電子タバコ、ニコチン依存症での役割 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/10/05 電子タバコ(電子ニコチン送達システム:ENDS)は、若者の間で一般的なタバコ製品となりつつある。電子タバコには、有害物質の低減や禁煙に効果的であるとのエビデンスもあるが、議論の余地は残っている。電子タバコが、ニコチン依存者の喫煙の減少や禁煙に対してどのように寄与するかは、ほとんど知られていない。米国・ノースダコタ大学のArielle S. Selya氏らは、ニコチン依存症に対する電子タバコの有効性について検討を行った。Nicotine & Tobacco Research誌2018年9月4日号の報告。 若年成人(おおよそ19~23歳)コホートを4年にわたり調査した。電子タバコの使用と従来型タバコの喫煙頻度との関係、ニコチン依存度の違いがこの関係にどのような影響を及ぼすかについて、変数係数モデル(VCM)を用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。 ・直近ではなく生涯にわたり、高レベルのニコチン依存者における電子タバコの使用は、従来型タバコを同時に喫煙する頻度の少なさと関連していた。 ・しかし、非依存的な電子タバコの使用者は、未使用者よりも、従来型タバコを喫煙する頻度がわずかに高かった。 ・電子タバコ使用者の約半数は、禁煙目的のために電子タバコを使用していた。 ・禁煙目的での電子タバコ使用者において、電子タバコの使用頻度は、将来の従来型タバコの喫煙頻度の減少と関連が認められなかった。 著者らは「電子タバコは、高度なニコチン依存を有する若年成人の喫煙者において、禁煙を補助する可能性がある。しかし、非依存者では逆の反応がみられており、非喫煙者の電子タバコ使用は、避けるべきであることが示唆された。また、多くの若者が、禁煙目的で電子タバコを使用していたが、電子タバコによる自発的な禁煙への取り組みは、将来の喫煙減少や禁煙と関連が認められなかった」としている。 ■関連記事 世界61ヵ国のタバコ依存症治療ガイドラインの調査 青年期の喫煙、電子タバコ使用開始とADHD症状との関連 精神疾患発症と喫煙の関連性 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Selya AS, et al. Nicotine Tob Res. 2018;20:1272-1277. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 加熱式タバコ、コロナ感染・重症化リスクを上昇/大阪公立大ほか 医療一般 日本発エビデンス(2023/02/10) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 切除可能胃・食道胃接合部がん、術前化学放射線療法の追加は有効か/NEJM(2024/10/07) 1型糖尿病への週1回efsitora、HbA1cの改善でデグルデクに非劣性/Lancet(2024/10/07) アルツハイマー病における妄想観念と抑うつ症状との関連性(2024/10/07) 毎日のナッツ摂取が認知症リスク低下と関連〜前向きコホート研究(2024/10/07) 世界初の眼球と部分顔面移植を受けた男性、1年後の状況は?(2024/10/07) セマグルチドがタバコ使用障害リスクを下げる可能性(2024/10/07) スマートマスクで呼気から健康状態をチェック(2024/10/07) 冠動脈疾患診断後、禁煙で発作リスク半減も減煙では無効(2024/10/07) [ あわせて読みたい ] トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) 災害対策まとめページ(2024/02/05) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17)