肥満とオランザピンの急性代謝系副作用との関連

提供元:ケアネット

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公開日:2018/01/19

 

 オランザピンは、統合失調症や様々な適応外疾患の管理に用いられる第2世代抗精神病薬である。オランザピンの急性代謝反応は、肥満に関連する多くの副作用を引き起こす。統合失調症患者は肥満率が高いが、元々ある肥満関連代謝障害がオランザピンの急性副作用を増大させるかどうかは不明である。カナダ・ゲルフ大学のLogan K. Townsend氏らは、非肥満マウスと高脂肪食(HFD)肥満マウスにおけるオランザピンの反応を比較した。Psychoneuroendocrinology誌オンライン版2017年12月8日号の報告。

 主な結果は以下のとおり。

・4週間のHFD(脂肪分60%kcal)により、肥満、高血糖、インスリン抵抗性マウスとなった。
・HFD誘発肥満マウスにおいて、オランザピン誘発性高血糖および全身性インスリン抵抗性が悪化した。
・オランザピンは、骨格筋および肝臓におけるインスリンシグナル伝達を強く阻害し、これは肥満により悪化するようであった。
・オランザピン誘発性高血糖の深刻化は、肥満マウスにおいてピルビン酸負荷が有意に高い血中グルコース濃度をもたらすことによる、肝臓グルコース産生の増加にも起因すると考えられ、グルコース生成酵素の肝臓含有の増加に関連していた。
・オランザピンは、肥満マウスの酸素消費を急速に増加させ、RER(安静時エネルギー要求量)を抑制した。
・オランザピン単剤治療は、肥満にかかわらず、身体活動を最長で24時間減少させた。

 著者らは「統合失調症患者では肥満が非常に多いことを考慮すると、これらのデータから、オランザピンの急性副作用の重症度を過小評価している可能性があることが示唆された」としている。

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(鷹野 敦夫)