日本人高齢者に肥満パラドックスはあるか~1万3千人の研究

わが国の高齢者1万3,280人のコホート研究で、日本人における肥満パラドックスを支持する結果が、岡山大学の山崎 賢士氏らより報告された。とくに肥満の高齢男性において全死亡リスクが低い傾向にあるという。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版2016年8月4日号に掲載。
わが国における肥満パラドックスのエビデンスは少ない。今回、著者らは日本の地域在住の高齢者において、この現象について調査した。静岡県内の74の全自治体から65~84歳の高齢者1万3,280人を無作為に選択、BMIを含むアンケートを実施して1999~2009年の間追跡した。なお、世界保健機関(WHO)のガイドラインに従い、アジア人集団で適切とされるBMI評価基準を用いて、参加者を18.5未満(低体重)、18.5~23.0(正常体重)、23.0~27.5(過体重)、27.5以上(肥満)に分類した。また、性別、年齢、喫煙状況、飲酒量、身体活動、高血圧、糖尿病について調整し、全死亡のハザード比と95%信頼区間(CI)を推定した。
主な結果は以下のとおり。
・正常体重の参加者との比較において、過体重や肥満の参加者は多変量ハザード比(95%CI)が低い傾向にあった。
肥満者 0.86(0.62~1.19)
過体重者 0.83(0.73~0.94)
低体重者 1.60(1.40~1.82)
・性別や年齢によるサブグループ解析において、肥満男性におけるハザード比(95%CI)が有意ではないが低い傾向にあった。
65~74歳の肥満男性 0.56(0.25~1.27)
75~84歳の肥満男性 0.78(0.41~1.45)
(ケアネット 金沢 浩子)
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