統合失調症患者への抗精神病薬と気分安定薬併用、注意すべきポイントは 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/05/30 統合失調症患者は心血管疾患リスクが高く、全死亡率は一般集団と比較して高い。抗精神病薬の代謝系副作用は広く研究されているが、抗精神病薬にリチウムやバルプロ酸など従来の気分安定薬を併用した場合の、代謝系リスクへの影響という観点からの評価はない。米国・マサチューセッツ総合病院のBrenda Vincenzi氏らは、第2世代抗精神病薬とリチウムまたはバルプロ酸との併用治療が、併用しない場合と比較し、代謝アウトカムの不良と関連しているかを検討した。Journal of psychiatric practice誌2016年5月号の報告。 3件の研究からのベースラインデータ、BMI、胴囲、空腹時血糖、インスリン、HOMA-IR(ホメオスタシスモデル評価によるインスリン抵抗性指数)、インスリン感受性指数、グルコース消費、グルコースへの急性インスリン反応に関する測定データを用い分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・リチウムまたはバルプロ酸の併用は、併用しない場合と比較して、空腹時血糖、空腹時インスリン、HOMA-IRの差は認められなかった。 ・インスリン感受性は、リチウムまたはバルプロ酸併用患者で低かった。 ・リチウムまたはバルプロ酸を併用している患者では、従来の気分安定薬を併用していない患者と比較し、BMIが高かったが、統計学的に有意な差は認められなかった。 結果を踏まえ、著者らは「第2世代抗精神病薬とリチウムまたはバルプロ酸を併用している患者では、インスリン感受性やBMIをモニタリングすることが有益である」としている。 関連医療ニュース 抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学 アリピプラゾールと気分安定薬の併用、双極性障害患者の体重増加はどの程度 オランザピンの代謝異常、アリピプラゾール切替で改善されるのか (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Vincenzi B, et al. J Psychiatr Pract. 2016;22:175-182. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 月1回投与の肥満治療薬maridebart cafraglutide、体重を大幅減/NEJM(2025/07/10) WHO予防接種アジェンダ2030は達成可能か?/Lancet(2025/07/10) 難聴への早期介入には難聴者への啓発が重要/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(2025/07/10) 『認知症になる人・ならない人』著者が語る「最も驚かれた予防策」とは?(2025/07/10) 日本人アルツハイマー病の早期発見に有効な血漿バイオマーカー(2025/07/10) 夏の暑さから身を守る――救急医のアドバイス(2025/07/10) SGLT2阻害薬が脂肪肝の改善に有効か(2025/07/10) たこつぼ型心筋症の患者では再入院リスクが高い(2025/07/10) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)