Lp(a)高値が及ぼす冠動脈疾患以外へのリスクとは/Circulation

提供元:ケアネット

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公開日:2025/08/25

 

 リポ蛋白(a)[Lp(a)]は動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の残余リスクの1つとして重要とされ、近年、再注目されている。今回、MIT・ハーバード大学ブロード研究所のTiffany R Bellomo氏らが、Lp(a)高値が冠動脈以外の動脈硬化疾患の発症ならびに重大な合併症の進展に関連していることを明らかにした。Circulation誌オンライン版2025年7月28日号掲載の報告。

 研究者らは、冠動脈以外の動脈硬化性疾患および合併症の発症リスクが高い患者を特定する上で、Lp(a)測定が有用となることを明らかにするため、英国バイオバンク46万544例のうちLp(a)が測定されていた患者データを解析。Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、Lp(a)濃度と末梢動脈疾患(PAD)や頸動脈狭窄の発症の関連、初発の主要下肢有害イベント(MALE)および初発の脳卒中進展との関連についてモデル化した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象者は、年齢中央値58歳(四分位範囲:51~64)、男性54.2%、欧州系94.4%、糖尿病患者5.5%、喫煙者10.5%であった。
・追跡期間中央値13.6年(同:12.9~14.4)において、PADと頸動脈狭窄の初発者はそれぞれ6,347例(1.4%)と1,972例(0.43%)であった。
・登録時点にPADと頸動脈狭窄を有していた対象者において、MALEあるいは脳卒中を発症したのはそれぞれ196例(2.7%)と67例(1.9%)であった。
・Lp(a)中央値は、ASCVDのない患者は19.5nmol/L(同:7.6~73.5)、PAD発症例では25.3nmol/L(同:8.3~107.3)、MALEへ進展した症例では33.3nmol/L(同:8.7~158.2)、頸動脈狭窄の発症例では29.5nmol/L(同:8.5~116.3)、頸動脈狭窄から脳卒中へ進展した症例では37.8nmol/L(同:11.1~158.3)であった。
・Lp(a)血清濃度75nmol/LあたりのPAD発症リスク推定値は、ハザード比(HR):1.18(95%信頼区間[CI]:1.15~1.20、p<0.0001)で、頸動脈狭窄発症リスク推定値(HR:1.17、95%CI:1.13~1.20、p<0.0001)とほぼ同等であった。
・PAD患者のうちLp(a)高値群は、正常群と比較して、MALE発現リスクが1.57倍高かった(95%CI:1.14~2.16、p=0.006)。
・頸動脈狭窄患者のうちLp(a)高値群が虚血性脳卒中を発症するリスクは1.40倍高かったが、有意ではなかった(95%CI:0.81~2.40、p=0.228)。

(ケアネット 土井 舞子)