座りきりの生活は心にどのような影響を及ぼすか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/05/12 座りきりの生活(TV視聴、インターネット利用、読書)すべてが必ずしも、精神衛生に悪影響をもたらすわけではないことが、英国・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのMark Hamer氏らによる調査の結果、報告された。また、TV視聴時間が長いと認知機能低下との関連がみられたが、ネット利用者では認知機能が高いこととの関連がみられたという。Medicine & Science in Sports & Exercise誌2014年4月号の掲載報告。 現代人のライフスタイルは、かなりの長時間を椅子に座って活動することで特徴づけられる。そのこと自体、健康に対してリスクをもたらす可能性はあるが、精神衛生に対する影響についてはほとんどわかっていない。 研究グループは、一般的な座りきり行動(TV視聴、インターネット利用、読書)といくつかの異なる精神衛生面との関連について調べた。具体的には、地域に住む高齢者コホートを対象とした研究「English Longitudinal Study of Ageing」から、男女6,359例について2年間追跡調査を行った。TV視聴時間、読書、インターネットの利用については、試験開始時の自己申告に基づき評価した。精神衛生については、Centre of Epidemiological Studies Depression尺度の8項目を用いて抑うつ症状を評価した。また、認知機能を評価するために記憶とことばの流暢さを神経心理学検査で測定した。 主な結果は以下のとおり。 ・被験者6,359例は、64.9±9.1歳であった。 ・TV視聴時間(6時間以上vs. 2時間未満・/日)は、抑うつ症状がより高いことと関連していた(係数:0.49、95%信頼区間[CI]:0.35~0.63)。また、全体的な認知機能が低いこととも関連していた(同:-1.16、-1.31~-1.00)。 ・対照的に、インターネット利用者は、抑うつ症状が低く(同:-0.58、-0.66~-0.50)、認知機能は高かった(同:1.27、1.18~1.37)。 ・試験開始時のすべてのタイプの座りきり行動が、追跡期間中の精神衛生面の測定値の変化と関連しているわけではなかった。 ・また、スコア差は持続したが、時間とともに増大することはなかった。 ・以上のように、座りきり行動すべてではなく、そのいくつかが精神衛生に悪影響をもたらすことが示された。 ・これらの関連は、対照的な環境や社会的コンテクストによって引き起こされていると考えられた。 関連医療ニュース 少し歩くだけでもうつ病は予防できる うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学 無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Hamer M, et al. Med Sci Sports Exerc. 2014; 46: 718-723. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] FUS-ALSの治療、jacifusenが有望/Lancet(2025/06/09) 軽症~中等症COVID-19、40種の薬物療法を比較/BMJ(2025/06/09) 胃がん周術期、FLOTにデュルバルマブ上乗せでEFS改善(MATTERHORN)/ASCO2025(2025/06/09) 統合失調症とうつ病における幻聴の違いは(2025/06/09) 進行尿路上皮がん1次治療、EV+ペムブロリズマブによるCR・PR症例の探索的解析結果(EV-302/KEYNOTE-A39)/ASCO2025(2025/06/09) 乳がん内分泌療法に伴うホットフラッシュにelinzanetantが有効(OASIS-4)/ASCO2025(2025/06/09) がん患者のワクチン接種率を上げるカギは医療者からの勧め/日本がんサポーティブケア学会(2025/06/09) 好奇心は加齢に伴い減退する?(2025/06/09) [ あわせて読みたい ] Dr. 倉原の“おどろき”医学論文(2013/08/21) 今こそメディカルコーチング -院内をワクワクに変える手法(2014/06/18) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014) ~改訂のポイント~(2014/04/30) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 『高血圧治療ガイドライン2014』 発刊(2014/04/01) “簡単・確実”吸入指導 デバイス別ポイント(2013/12/05)